年を重ねた分、新たなターゲットが開拓できる
2018年に設立されたyutori。「9090(ナインティナインティ)」「Younger Song(ヤンガーソング)」など、21のアパレルブランドを運営している。立ち上げ1年目には通期で約1,000万円を売り上げ、4年目には約17億円、そして5年目となった2022年度は約25億円の売上高を記録した。同社の代表取締役社長 片石貴展氏は、「売上は毎年、“強烈に”伸びている」と表現する。
同社のブランドはZ世代をターゲットとしたストリートファッションが中心だが、「PAMM(パム)」のような20代後半~30代前半の女性向けブランドも好調だという。2023年9月には、渋谷PARCO4階にPAMMの常設展をオープンした。
2024年春頃には、PAMMと同じターゲット層に向けた新ブランドの立ち上げが予定されている。片石氏は、「中長期的には、買収も含めて、ミレニアル世代向けのレディースブランドを増やしたい」と意気込む。
片石氏がyutoriを創業したのは24歳のときだ。当時からいる本社の社員は片石氏も含めて現在27~29歳と、PAMMのターゲット層と重なる年齢になっている。一方、yutoriが運営しているブランドの中には、片石氏らが20代前半で立ち上げたものも多い。
メインターゲットよりも年齢が高い社員が増える中、yutoriは「自分たちが成長してもブランド自体には年を取らせない」をポリシーに、ブランドの幅を拡げていく。
「ターゲットは変えずにブランドディレクターを若い社員に変え、僕たちは年齢を重ねた分、別のブランドを生み出していきます。言い方を変えると、年を取れば取るほど 新たなブランドが生まれて、yutoriのマーケットサイズが大きくなるということです」
そんなyutoriの存在感を、片石氏はさらに強固にしていこうとしている。その方法の1つが上場だ。2023年7⽉には、中長期的な成長を目指し経営基盤の強化を発表した。
「yutoriは『おもしろい人』に関わってもらわないと成立しない会社。業界最年少で上場して、新しいクリエイティブディレクターやデザイナーなどと一緒に仕事する機会を獲得することが狙いです」