本当にパーソナライズできていますか?
EC担当者は実感しているでしょうが、顧客が欲しているのは商品だけではありません。顧客は、自らにとって意義のある購買行動を求めています。その体験を左右するのがパーソナライズです。
顧客のニーズに合わせてカスタマイズされた情報や提案は、購買行動において大きな影響を与えます。同種の製品を提供しているECサイトが複数ある場合、パーソナライズされた情報を提供するECサイトのほうが優位に立つ時代になっています。
実際にアドビが日本を含む世界14ヵ国の消費者・マーケティング専門家を対象に調査したところ、次のような結果が得られました。
(1)若い消費者ほどパーソナライズされた顧客体験を期待
購買・消費活動がデジタルプラットフォーム上でも行われる現代において、顧客体験への期待はどう変化したか尋ねたところ、Z世代の60%近くとミレニアル世代の50%超が「私自身の好みやニーズに合わせ、よりパーソナライズされた体験を期待する」と回答しました。
なお、パーソナライズの期待は世代が上がるにつれて低くなるため、全世代の平均は39%となっています。だからといって、パーソナライズに期待していないわけではありません。
(2)景気が悪化すると、より良い顧客体験への期待が高まる
50%の消費者が「景気が悪くなるとより良い体験をブランドに期待する」と回答しており、特に「景気が悪くなると期待値が非常に高くなる」と答えた人は28%に上りました。
景気が悪くなると自然と財布の紐が堅くなって買い控えが発生します。そうした中でも買い物をするのならば、「少しでも良い体験ができる」ブランドを選ぶ消費者心理の表れでしょう。
では、そんな「良い体験」はどのように生まれるのでしょうか。
(3)デジタル技術は、顧客体験において不可欠
本調査によると、消費者の85%が「デジタル技術が顧客体験の一翼を担っている」と回答しています。「対面・オンラインを問わず、デジタル技術が顧客体験に不可欠」と回答したのは全体の40%。この傾向は若い消費者に特に強く見られます。
Z世代では94%が「デジタル技術が顧客体験の一翼を担っている」と答えており、テクノロジーが顧客体験にとって必要不可欠なものだと捉えています。
これまでウェブサイトやECサイトの改善というと、UI/UXの観点から語られることがほとんどでした。「かっこいい見栄えにしたい」「見やすい・わかりやすいECサイトにしたい」など、理由は様々です。
本来はそれに加え、関連商品のレコメンデーションやA/Bテストなど、追加購入や購買率向上への施策が欠かせません。
さらにここ最近は、「パーソナライズされた購買体験」、日本流に言い換えれば「おもてなし」を磨き上げることが、eコマースの収益向上に大きく貢献する時代になっています。
リアル店舗で当たり前のように実施されている「来客のニーズをヒアリングして引き出し、最適なタイミングで、最適なものをレコメンドしおもてなしをする」。これをデジタル化するのです。
あなたの会社では、本当に「おもてなし」を提供できていますか?