株式会社オークローンマーケティングが運営する「ショップジャパン」は国内で知名度の高い通販番組です。同社はEC市場の活性化に伴い、従来型の通販のみに固執しない新しいECやサービスのあり方も模索しています。
この記事では、株式会社オークローンマーケティングの最新のデジタル施策事情について解説します。
株式会社オークローンマーケティングの企業情報・事業内容の概要
まずは、株式会社オークローンマーケティングの基本的な企業情報を紹介します。
株式会社オークローンマーケティングの企業情報
以下の表は、株式会社オークローンマーケティングの企業情報をまとめたものです。
社名 | 株式会社オークローンマーケティング |
---|---|
本社所在地 | 愛知県名古屋市東区東桜1-13-3 NHK名古屋放送センタービル14F |
設立年月 | 1993年5月 |
代表者名 | 代表取締役会長兼社長 ロバート・W・ローチ |
株式公開 | 非上場 |
資本金 | 14億6,753万円 |
おもなグループ会社 |
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株式会社オークローンマーケティングの事業内容
株式会社オークローンマーケティングのおもな事業は、通販サービス「ショップジャパン」の運営・管理です。特にテレビ通販においては、商品の認知拡大や顧客獲得に向けたコンテンツ制作に長年取り組んできました。
近年は公式サイトを通じたEC展開にも力を入れており、お得な商品やおすすめのアイテムの紹介、および販売を手がけています。世界中から厳選されたメーカー商品のみならず、フィットネスグッズ「ゆらころん」などの自社オリジナル商品も提供してきました。
また、デジタルメディアだけでなく、新聞や折り込み広告などのプリントメディアにおける発信力も有しています。各媒体の特性を深く理解したうえで最適な広告手法を用い、訴求力の向上に努めています。
通信販売を主軸とする同社ですが、最近では実店舗による小売業も手がけている点も特徴的です。ショップジャパンの取り扱い商品を店舗で卸売りすることで、商品とショップジャパンの両方の認知向上に役立てています。
ほかにも、自社のノウハウを活かしたコールセンターサービス提供も行っています。
株式会社オークローンマーケティングの沿革
以下の表は、株式会社オークローンマーケティングの沿革を簡単にまとめたものです。
年 | 沿革 |
---|---|
1993年 |
株式会社オークローンマーケティング設立 海外映像を使用したテレビショッピング事業を開始 |
1999年 | 「ショップジャパン」ブランド創設 |
2003年 | 低反発マットレス「トゥルースリーパー」販売開始 |
2009年 | 株式会社NTTドコモと資本提携 |
2011年 | OLM千葉ロジスティクスセンター開設 |
2014年 | 東京オフィスを虎ノ門ヒルズに移転 |
2022年 | 「トゥルースリーパー」低反発マットレス市場9年連続売上金額No.1達成 |
1993年創業当時のオークローンマーケティングは、海外の映像を使ったテレビショッピング事業が主体でした。1999年にはショップジャパンブランドを立ち上げ、以後同社の看板ブランドへと成長していきます。
2003年に販売を開始した低反発マットレス「トゥルースリーパー」シリーズは、今日に至るまで同社の主力商品として広く販売されている商品です。
2009年にはドコモと資本提携を結び、通信領域における支援を得ながら事業を継続しています。愛知だけでなく、東京やその他地域にもオフィスを設置して日本全国にサービスを提供する仕組みを整えるなど、販売チャネル拡大に努めています。
株式会社オークローンマーケティングが実践する最新のデジタル施策
株式会社オークローンマーケティングの最大の強みは、充実した通信販売サービスです。
デジタルシフトが進みEC需要が高まるなか、テレビ通販やプリントメディアの影響力は低下していますが、同社ではEC施策の強化を推進することで、新規顧客の獲得に努めています。
表示スピード高速化とサイト安定化を実現したオンラインショップ
株式会社オークローンマーケティングが運営するショップジャパンのオンラインショップは、サイト表示スピードの改善や、パフォーマンスの安定化を進めたことで、顧客にとって使いやすいサービスへと進化しました。
2018年よりスタートしたCMS改善プロジェクトにて、最も注力したのが表示スピードの改善です。スピード改善のボトルネックであったアメリカ製のCMSである点を見直し、CSSを整理して余計なスタイルの削除を行うなどした結果、ECサイトの表示スピードを11秒台から2秒台へ短縮させ、顧客体験の改善に成功しました。
また、キャッシュヒット率(CPU内部のキャッシュメモリに目的のデータが存在する確率)を約80%から約98%にまで引き上げたことにより、サイトの負荷削減や安定化も実現しています。コロナ禍では従来よりもトラフィック量が圧倒的に増えたようですが、そのなかでも問題なくサーバーを稼働させることができたとのことです。
Webに最適化した広告効果を発揮する「運用型クリエイティブ」
さらなる顧客獲得に向け、株式会社オークローンマーケティングではWeb広告の運用にも力を入れています。株式会社ADKマーケティング・ソリューションズが提供する運用型クリエイティブクラウドサービスを活用することで、動画広告をWebに最適化した形で展開することに成功しました。
ADKマーケティング・ソリューションズが提供するこのサービスは、多様な動画フォーマットを活用し、簡単に動画広告を大量に配信できる点が最大の特徴です。テレビCMのような映像コンテンツの場合、従来は1つの広告を作成するのに多大な時間と費用がかかりましたが、同サービスを活用することで、動画コンテンツ制作コストを抑えられるだけでなく、効果測定も可能になりました。
結果、株式会社オークローンマーケティングでは静止画の広告と比べ、動画広告を経由したROAS(広告費用対効果)は約1.5倍に改善しています。
株式会社オークローンマーケティングの近年の動向
ここでは株式会社オークローンマーケティングが取り組む、その他の近年の動向について解説します。
北都システムの本部-店舗間コミュニケーションシステム「店舗 Linkle」を導入
株式会社オークローンマーケティングは、2019年1月にシステム会社の株式会社北斗システムが提供する「店舗 Linkle」を導入しました。
同サービスは企業の本部と店舗の間におけるコミュニケーションを活性化させるためのシステムで、同社卸売先の売り場改善やチェックを促し、売り場における訴求力向上や業務効率を目指すものです。
活用例としては、売場ディスプレイを画像で報告したり、上司やマーケティング部がコメントや修正指示を出したりすることができるほか、売場の結果から分析して次の売場指示につなぐなど、PDCAにも活かせます。
オークローンマーケティングは、家電製品店やショッピングモールなど全国約5,000の卸先店舗を有しており、今後徐々に報告対象店舗を増やすとのことです。
オークローンマーケティング女性管理職40%実現のポイント
株式会社オークローンマーケティングでは早期から働き方改革に注目してきた背景があり、成果主義と多様性への配慮を現場で実践してきました。特に注目されているのが女性社員の活躍で、同社における管理職の約40%は女性とのことです。
同社は、女性管理職の割合が他企業よりも多い理由について、成果主義の実現やワークライフバランスへの配慮を促進した結果だとしています。あえて女性を特別扱いしない社風が、公平で健全な社内環境実現につながった例といえるでしょう。
株式会社オークローンマーケティングの気になるトピックス
その他、株式会社オークローンマーケティングの気になるトピックスを以下にまとめています。
2022年10月4日:【トゥルースリーパー】低反発マットレス市場9年連続売上金額No.1、低反発まくら市場4年連続売上金額No.1を達成!
寝具ブランド「トゥルースリーパー」が日本国内の低反発マットレス市場において9年連続売上金額No.1を達成。低反発まくら市場においては、4年連続売上金額No.1を達成した。
2022年9月26日:寝具ブランドの【トゥルースリーパー】 シリーズ累計出荷数1,200万個突破!
2003年よりブランドをスタートし、ロングセラーブランドとしてお客様の支持を頂戴している「トゥルースリーパー」シリーズの累計出荷数が1,200万個を突破。
2021年11月2日:オークローンマーケティングがFWD生命と代理店契約を締結し、保険募集を開始
株式会社オークローンマーケティングは2021年11月2日より、FWD生命保険株式会社と代理店契約を締結し、保険商品の募集を開始。
2020年8月21日:寝具ブランド「トゥルースリーパー」主催、『Withコロナ時代の睡眠のお悩み解決』をテーマに無料ウェビナーを9月3日【睡眠の日】に開催
寝具ブランド「トゥルースリーパー」は、『Withコロナ時代の睡眠のお悩み解決』をテーマに2020年9月3日の睡眠の日に無料ウェビナーを開催。
2020年1月9日:企業の睡眠ルームに、トゥルースリーパー商品一式提供。~〝業務中のお昼寝”で仕事の生産性向上を支援~
株式会社オークローンマーケティングでは、「トゥルースリーパー」のマットレス・枕・掛布団一式を無料で企業に提供する、“トゥルースリーパー「お昼寝普及活動」を開始。
2018年10月25日:ショップジャパン オンラインショッピングサイトにて「Amazon Pay」での決済サービス開始
株式会社オークローンマーケティングは、公式オンラインショッピングサイト「ショップジャパン」の新たな決済手段として「Amazon Pay」を導入。
まとめ
この記事では、ショップジャパンを運営する株式会社オークローンマーケティングについて解説しました。テレビ通販やチラシを通じて大ヒット商品を世に送り出してきた同社は、EC需要拡大に伴い、積極的なデジタル施策の強化に取り組んでいます。
堅実なECの改善や時代に応じた働き方を実践することで、着実に成果を挙げている点から、今後の成長に期待できる企業といえるでしょう。