ビデオレンタルなどで一定の知名度があった「ゲオ」は、現在株式会社ゲオホールディングスのもと、日本を代表するリユースショップとして知られるようになりました。同社はゲオ以外にも海外向け事業などの多くのリユース事業を展開しており、自社の強みを生かした経営の多角化も進んでいます。
この記事では、そんな株式会社ゲオホールディングスの強みや、ビジネスを成長させた背景について解説します。
株式会社ゲオホールディングスの企業情報・事業内容の概要
まずは、株式会社ゲオホールディングスの企業情報や事業について紹介します。
株式会社ゲオホールディングスの企業情報
以下の表に、株式会社ゲオホールディングスの企業情報をまとめました。
社名 | 株式会社ゲオホールディングス |
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本社所在地 | 愛知県名古屋市中区富士見町8番8号OMCビル |
設立年月 | 1989年1月 |
代表者名 | 代表取締役社長執行役員 遠藤結蔵 |
株式公開 | 東証プライム市場上場 |
資本金 | 89億7,500万円 |
おもなグループ会社 |
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株式会社ゲオホールディングスの事業内容
株式会社ゲオホールディングスのおもな事業は、メディア業とリユース業です。映像レンタル・販売ショップである「ゲオ」は全国に1,100店舗以上を構え、その多くが直営で運営されています。
中古ゲームやCDなどはゲオでも豊富に扱ってきましたが、近年は「セカンドストリート」や「ジャンブルストア」をはじめとする、リユース専門のショップ展開も拡大しています。衣料品や家電など、幅広い品を多様な店舗ブランドで扱うことにより、日本全国のリユース市場を席巻している点が同社の強みです。
最近ではリユース業から発展させたオフプライス業やモバイル業の展開、そしてオンライン業への進出も目立っており、自社のノウハウをさまざまな方面で有効活用しています。
また、新規事業への独自開発や海外向けのフォーマット開発なども進めており、大きなポテンシャルを秘めた企業であることがわかります。
株式会社ゲオホールディングスの沿革
以下の表は、株式会社ゲオホールディングスの沿革を簡単にまとめたものです。
年月 | 沿革 |
---|---|
1986年6月 | 愛知県豊田市にビデオレンタル店(ビデオロードショー美里店)開業 |
1989年12月 |
株式会社ゲオミルダに社名変更 「GEO」屋号使用開始 |
2003年4月 | 四国の株式会社ロッキーを子会社化し四国エリア進出 |
2005年12月 | 高知県の四万十店開店で全都道府県出店を達成 |
2010年9月 | 株式会社セカンドストリートを100%子会社化 |
2011年11月 |
メディア事業を会社分割により新設した株式会社ゲオに継承 株式会社ゲオホールディングスに社名変更 |
2014年4月 |
株式会社ゲオと株式会社ウェアハウスが株式会社ゲオを存続会社として吸収合併 モバイル専門店業態での出店開始 |
2018年1月 | リユース事業で海外初となる「セカンドストリートメルローズ店」出店 |
2020年4月 | 株式会社ゲオ(現商号:株式会社ゲオアセット)の各事業を吸収分割により4社に分割 |
1986年、レンタルビデオ店として創業されたゲオは、1988年の法人化を皮切りに、ビデオレンタル業として全国に波及していくこととなります。
2005年には全国出店を達成しましたが、2010年代以降はレンタルビデオ需要の衰退に伴い、本格的なリユース業への参入に着手します。2010年にアパレルリユースのセカンドストリートを子会社化し、強力な地盤を手に入れました。
2011年のホールディングス化以降、事業の多角化はさらに加速します。2014年にはモバイル事業への参入を本格化させ、2018年にはリユース事業で初の海外出店も達成しました。
コロナ禍でも成長を果たしたゲオの強み
新型コロナウイルスの拡大により、多くの事業者が破産や廃業に追い込まれることとなりました。
しかし株式会社ゲオホールディングスは、コロナ禍でもうまくトレンドをつかんで成長し続けた数少ない企業といえます。困難な状況のなか、同社はどのような強みを武器にしたのでしょうか。
店舗拡大や企業買収を進め、オフプライス事業へ参入
株式会社ゲオホールディングスがかねてより注力してきたリユース事業は、コロナ禍でも一定のニーズがあり、同社の継続的な成長を支えています。
衣類や家具、家電を取り扱う同社のリユースショップ「セカンドストリート」の店舗数は750を超え、全国に流通網を張り巡らせることで、全国での円滑な事業展開に役立てています。
また、2019年には中古ブランド品の卸しや輸出、そして古物市場運営を手がける株式会社おお蔵を買収し、ラグジュアリーブランド品や宝飾品の取り扱いも開始しました。リユース業界のニーズを同社が一手に引き受け、マーケットでの優位性を確保することで、安定した成長を遂げられたのです。
さらに近年は、リユース事業の発展形態として、オフプライス事業への参入も進めています。トレンドを逃した新品の商品を安価に引き取り、自社のオフプライスショップで販売することにより、さまざまな商品を低価格で消費者に提供するビジネスモデルです。
同社に蓄積されたリユース業のノウハウを活かしている点はもちろん、SDGsのマインドが広く共有され、リユース業やオフプライス業が改めて脚光を浴びたことなども、同社の成長を後押ししているといえるでしょう。
店舗を軸としながらECでの成長も実現
株式会社ゲオホールディングスが手がけるリユース業は、実店舗のみならずECにおいても安定した成長を続けています。
同社ではEC事業の成長に向けてさまざまな施策を強化しており、検索エンジンを強化してECの商品検索をより効率的な機能に改善したり、精度の高いレコメンド機能を実装したりと、ユーザビリティの改善に取り組んできました。
その成果もあり、2022年3月期の同社EC売上高は、前期比約19.6%増の204億4,400万円に達するなど、実店舗とECの両軸でビジネスの成長を実現しています。
株式会社ゲオホールディングスの近年の動向
ここで、株式会社ゲオホールディングスが行ってきた具体的な施策について、近年の代表的な事例を紹介します。
即金買取アプリの提供開始
2018年8月、株式会社ゲオホールディングスはゲームソフトやゲーム機本体の外箱に記載のバーコードを読み取ることで、即座に査定と買取手続きが行えるアプリ「ゲオスグ」の提供を開始しました。
ゲオスグのアプリで読み取る、あるいは商品番号をアプリに入力することで、その場で査定金額を提示する仕組みで、店舗まで買取を申し込みに行く手間を解消できます。査定にはゲオが実店舗の売買で培ったデータベースを利用しているため、信頼性の高い査定結果を期待できるのが特徴です。
経営基盤強化を目指し自社基幹システムに「SAP S/4HANA」を採用
株式会社ゲオホールディングスは2020年11月、自社基幹システムに「SAP S/4HANA」を採用することを発表しました。
業務の標準化や事業拡大への柔軟性向上、経営判断に直結するスピーディな情報活用などを実現するために、多くの名だたる企業が導入している同システムを選定したとのことです。
「ネット普及」理由に宅配・店舗でのCD買取終了
株式会社ゲオホールディングスは、2022年9月29日を最後にCDの宅配買取を終了、翌30日には店舗でのCD買取を終了することを発表しました。
かねてよりメディア業界では、CDやDVDの需要が低下していることが懸念されていました。今回の取り扱い終了の理由については詳しく発表されていないものの、同社でもECやサブスクリプションサービスの普及に伴い、CDの取り扱いを減らす経営判断がなされたと考えられます。
また、CDやDVDの販売については依然として取り扱いがあるということで、完全にこれらのメディア媒体を扱わなくなったわけではありません。
株式会社ゲオホールディングスの気になるトピックス
そのほか、株式会社ゲオホールディングスの気になるトピックスを以下にまとめています。
2023年2月13日:町田モディに1万点そろうオフプライスストア
ゲオホールディングスの子会社であるゲオクリアは2月17日、東京都町田市にオフプライスストア業態「Luck Rack(ラックラック)町田モディ店」をオープンする。
2023年2月3日:ゲオ傘下のラグジュアリー専門リユースショップ「OKURA」新店舗、エルメス専門フロアを展開
ゲオホールディングス傘下のラグジュアリー専門リユースショップ「OKURA」が、2月4日に「OKURA 銀座中央通り店」をオープンする。
2023年2月3日:「セカンドストリート」ロッカー買取サービスをテスト導入、24時間365日買取可能に
ゲオホールディングスの子会社であるセカンドストリートが、ロッカー買取サービス「セカスト買取ロッカー」の一部店舗でのテスト導入を開始した。2月1日から順次開始している。
2022年12月7日:【株式会社ゲオホールディングス】リユース事業No.1企業のWeb担当部署がプロジェクト管理ツールにdejamを導入! | 無料で使えるLPの自動最適化ツールdejam
株式会社ゲオは、株式会社LeanGoが提供するWebマーケティングで成果を出すためのプラットフォームdejamを導入した。
2021年2月15日:ゲオがコンビニ参入!? 食品小売店「GEO-YA」密かにオープン、弁当など扱わず食品ロス削減、喫煙所完備
レンタルビデオ店「GEO」やリユース店「セカンドストリート」などを展開するゲオホールディングス(名古屋市)が1月、食品小売店「GEO-YA」2店舗を東京都板橋区に秘かにオープンしていた。
まとめ
この記事では、株式会社ゲオホールディングスのビジネスモデルや、どのような強みが同社の成長を支えてきたのかについて解説しました。
ビデオレンタルからリユース業への移行を速やかに進めた同社では、中古商品への注目が高まる近年の世界的なトレンドを味方につけ、積極的な販路拡大や買収を進めることで、圧倒的なシェア獲得に至っています。
自社ノウハウの活用と潜在的な需要のある市場への柔軟な参入などが、同社の最大の強みといえるでしょう。