CtoCからBtoCへ フリマ市場とも通ずるeギフトのおもしろさ
新卒でメルカリに入社し、プロダクトマネージャーとしてフリマアプリ「メルカリ」のグロースや、「メルカリShops」などの新規事業開発に取り組んでいた中島さん。eギフトの領域に興味を持ったのは、メルカリ時代に勉強を兼ねて様々なECサイトで商品を購入していた際の発見がきっかけであったという。
「プロダクト開発について右も左もわからない新卒がどうすれば良いものを作れるか考えた結果、世の中にあるサービスに実際に触れたり、いろいろなECサイトから商品を実際に買ってみて驚くような体験を自ら探してみようと考えました。数多くの商品をこれまで購入してきましたが、中には購入前の期待値よりも手元に届いてからのほうが魅力を感じたケースもあり、こうした偶然の出会いをeコマースで生み出せないか考えた結果、人を介して新たな商品と出会う、ブランドの魅力が伝わるeギフトの可能性に気づいたのです」
起業を決断してからはスタートアップで経験を積み、2021年10月にAnyReachを創業。試行錯誤を重ねながら、2022年4月にAnyGiftをリリースした中島さんだが、「開発には思った以上に時間がかかったものの、本格的なサービスローンチ以前から良い出会いに恵まれた」と続ける。
「事業の構想についてある方に相談した際、『きっと相性が良いはず』と『Minimal -Bean to Bar Chocolate-(以下、Minimal)』の緒方(恵)さんを紹介いただきました。DMでやり取りをしたところ、『ちょうどeギフトの機能追加を考えているのでお話ししましょう』といわれ、まだサービスローンチ前であるにもかかわらず、比較検討の対象としていただけたのです。この時にお褒めの言葉をいただいたことが自信につながりました」
Minimalは「導入決定後、正式なサービスローンチ前からたくさんのフィードバックをもらった恩人」だと語る中島さん。こうした流れを踏んでリリースされたAnyGiftだが、世に出してみて「家族や友人・知人同士の贈り合いだけでなく、販促や営業活動などBtoBの領域にも活かせるサービスである」と気づいたそうだ。
「贈り物文化を盛り上げるだけでなく、オペレーション改善の視点でもeギフトの仕組みは活用できる。この発見は自身にとっても非常に大きなものでした。
たとえば、自動車のディーラーや保険会社など、営業担当者がお客様の来店時や自宅に直接赴いて手渡ししていたお礼の品をeギフトで提供する、メーカーがこれまで手紙やハガキで応募いただいていたキャンペーンをeギフトの仕組みを使ってデジタル化するなどといった非効率、不便さの解消目的での利用も、市場を見ると増えています。CtoCから盛り上がって、BtoBのものの動きにも変化を及ぼす流れはメルカリからメルカリShopsの流れと近しさを感じる部分もあり、おもしろい領域だと思っています」