誤差は設定ミスが原因かも GA4のデータ取得をチェック
無料版のユニバーサルアナリティクス(UA)のサポートは2023年6月で終了となる。Google アナリティクス4(GA4)のUIに慣れず、混乱しているEC事業者も少なくないだろう。
プリンシプルのエンジニアが2022年12月に行った調査では、上場企業のコーポレートサイトをクローリングし(対象4,112、成功3,950サイト)、GA4のタグの導入状況を調査した。導入サイト数は1,802と45.62%に。基本的に累計となっていくため過去最高値だが、UAのサポート終了まで半年(取材時)の時点で上場企業を対象に行った調査でも半数に満たないのは気になるところ。もちろん、有料版の360やほかのサービスを利用している場合もあるが。
一方でプリンシプルのクライアントにヒアリングを行うと、「GA4は導入したが、現在はまだUA中心で分析している」との回答が多いと言う。昨年対比の分析を行うのであればGA4ではデータが取得できていないこともあるが、UAサポート終了までに慣れておきたいところもありGA4での分析に本腰を入れたほうが良さそうだ。
そこでプリンシプル西田さんに、タイムリミットが迫る中、真っ先に検討・実行したい施策を3項目にまとめてもらい、それぞれについて詳しく説明してもらった。
- GA4データの検証
- 「探索」レポートの学習
- UAデータの保存検討
ひとつめの「GA4データの検証」について。まずは、UAで適用していたIP除外やクロスドメイントラッキングなどの設定がGA4でも漏れなく移行できているか、再確認しておきたいとのこと。
「それほど特殊な設定はしていないため大丈夫だろうと安心していたところ、改めて突き合わせてみるとデータ取得に不備が見つかったクライアントがいらっしゃいました。管理画面が変わっているため、UAの設定を容易にコピーができるかと思いきやそうではありません。レポートや外部ツールでの出力結果にて、正しくデータ取得ができているか疑ってかかるくらいの姿勢でチェックしてみてください」
UAとGA4では、同じ指標でもその差に大小あれど数値が異なる前提で良いとのこと。データ取得を正しく行えているけれども異なるのか、そもそもデータ取得が正しく行えていないから異なるのかはチェックする必要があるわけだ。
主な指標、UAと比較したGA4での数値の変化、その背景となる計測方法は次の表のとおりだ。
主な指標 | GA4での数値の変化 | 背景となる計測方法 |
---|---|---|
ユーザー数(UU) | ほぼ同数~減る | UserID・Googleシグナルを用いたユーザー識別の採用 |
セッション | ほぼ同数~減る | セッションが切れる条件がタイムアウトのみに変更 |
チャネル別セッション数 | 数値がばらける可能性 | 広告関連を中心に一部細分化したため |
表示回数(PV) | ほぼ同数 | |
CV | ほぼ同数~増える | GA4では一度のセッションで同一CVが複数カウント可能になったため |
エンゲージメント時間(滞在時間)、直帰 | 一致しない | 計測方法が根本的に異なるため |
「たとえばセッション数を実数でなく割合でみたとき、UAと比較して特定の流入チャネルの割合が大きく減少している、directのセッションが大幅に増えている等あれば、計測の正確性に不安が生じます。GA4だけで2023年7月以降に昨対比で分析する際に、誤ったデータ取得を行っていたのであれば何を信じて良いかわからなくなりますよね。UAで計測できている今のうちに検証したいところです」