商品展示は1点ずつ 試着室が店内に多数並ぶAmazon Style
筆者は、自身が小売CX(顧客体験)部会リーダーを務める日本オムニチャネル協会のアメリカ視察ツアーに参加して、2022年10月7日から13日の1週間、アメリカ・ロサンゼルスとシアトルの小売店舗を見てきました。視察中に得たもっともイノベーティブな顧客体験は、Amazonが同年5月25日にカリフォルニア州グレンデールのショッピングモール「The Americana at Brand」に開店した「Amazon Style」でした。
Amazon Styleの店舗は、「Amazon」という単語を無視したならば、一見して普通のアパレルショップです。日本人にも馴染みのあるブランドの商品を取り扱っています。
1階の店内部分は、400坪弱の縦長です。入り口側に女性向けの服、奥側に男性向けの服があり、真ん中は雑貨が並べられてレジや階段・エレベーターがあります。
ここまでは普通の店舗ですが、壁際や2階への表示に目を向けると、普通の店舗ではないことがわかります。試着室が1階に18室、2階に22室もあるのです。しかも、すべての試着室に鍵がかかっています。
次に気づいた違和感は、ひとつの商品が1着ずつしかないことです。普通のアパレルショップであれば、サイズ・色などのバリエーションがあり、それぞれ数着ずつ店頭に陳列されているものです。
雑貨(なぜかロジクールのおしゃれなデザインのキーボードなども並んでいました)やアクセサリー以外の店頭で陳列されている洋服はあくまでもサンプルという位置づけで、それぞれに二次元コードが貼りつけられています。このコードをアプリでスキャンし、在庫のあるサイズ・色を選ぶことで、試着(Try on)するか、ピックアップ購入(Send to Pickup)するかを選ぶことができます。
Try onを選んでしばらく待つと、試着室が用意できたという通知が届くので、指定番号の試着室の鍵をアプリで開けて入室します。