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ECzine Day 2024 Autumn

2024年8月27日(火)10:00~19:15

勝つD2C 注目ブランド大研究

発想豊かなZ世代が「中の人」に サステナブルなものづくりと熱いコミュニティ醸成に挑むKNT365


 使用済みペットボトルを原料としたリサイクルポリエステルを用いて、ニットバッグなどの生産・販売を行うD2Cブランド「KNT365」は、InstagramとBASEを用いて2021年から本格的なブランド展開を開始。わずか1年ほどでInstagramのフォロワー数を3万人にまで増やしている。「地球、人、動物にとっていいことだらけの365日使えるアイテムをつくっています。」と掲げる同ブランド立ち上げの経緯やものづくりに対する想い、SNSを通したファンとの交流について、株式会社KNT365 代表取締役の國井淳さんに聞いた。

リーマンショック後の展示会から感じ取ったブランド価値の変化

 アパレル業界に30年以上身を置き、卸売り、海外店舗・フランチャイズ展開、生産拠点の立ち上げなどさまざまな角度から事業展開の経験を積んできた國井さん。2002年には株式会社ラウゴアを創業し、BtoBを主軸にバッグなどアパレル雑貨の卸売りを手掛けていたが、日頃から業界が向き合うべき課題を感じていたと言う。

「私は中国、カンボジアといったアジア・東南アジア地域で、大量生産・大量消費の現場を目の当たりにしてきました。アパレル業界は長年、安価な商品提供を実現するためにロット数を増やし、捌き切れなかった在庫をセールで処分するという負のスパイラルに陥っています。これを断ち切るには、自ら動いてみるしかない。そう思ったのが、KNT365創業の最大の理由です」

株式会社KNT365 代表取締役 國井淳さん

 しかし、業界の慣習を変えるチャレンジとして、國井さんはなぜD2Cブランド立ち上げという手段を選んだのだろうか。これについては、サプライチェーンの変化を身をもって感じたある出来事を振り返った。

「事業を手掛ける中で毎年さまざまな海外の展示会に参加してきましたが、リーマンショック後の2009年から2010年頃を境に、とくにアメリカの展示会の様子が変わってきました。興味を持って話を聞いてみると、『実店舗は構えておらず、店舗への卸も行っていない。ECだけで展開しています』と話すブランドが増えてきたのです。

 また、同時にアメリカではオーガニックコットンを使った商材のみを扱うブランドも増加していました。そして、こうしたブランドのバリューがどんどん増していくのです。このふたつの動きを見て、『お客様と直接接点を持つこと』と『環境に目を向けたものづくり』が、今後欠かせないキーワードになると確信しました。そして、その両方を実現できるブランドを自らつくってみようと動き始めたのです」

 國井さんは、2019年にラウゴアを名称変更する形で株式会社KNT365を創業。2020年には自社で3Dニッティング・マシーンによる商品生産拠点を構え、2021年よりKNT365の本格展開を開始した。

 前出のように「地球、人、動物にとっていいことだらけの365日使えるアイテムをつくっています。」と掲げるKNT365。サステナブルなものづくりを行う手段が多岐にわたる中で、リサイクルポリエステルの活用に目を向けた理由について聞いたところ、このような答えが返ってきた。

「従来のアパレルの問題点を解消する上では、『つくりすぎない』方法だけでなく、『循環させる』『無駄にしない』方法も模索しなければならないと考えました。これを実現しようとすると、自社でつくった素材を用いて商品を生産するだけでなく、お客様が購入後に何らかの理由で不要になったKNT365の商品をも回収し、糸として再利用、新たな商品を生み出すサイクルをつくり上げる必要があります。

 とは言え、これはあくまでこれは理想図です。こうしたエコシステムを構築する上でどのような素材から始めれば良いか検討したところ、日本国内でリサイクルポリエステルを安定的に供給していただける企業を見つけることができました。であれば、まずは身近な素材を用いた商品展開から始め、ビジネスを育てながら描く世界へ一歩ずつ近づけていこう。そう考え、現在のニットバッグを主軸としたブランド展開に至っています。将来的には土に還すことができる素材づくりなどにも取り組みたいですが、いきなり100点満点な事業展開をすることは少人数で運営している以上難しいので、少しずつ前に進んでいこうと思っています」

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この記事の著者

ECzine編集部 木原 静香(キハラシズカ)

立教大学現代心理学部映像身体学科卒業後、広告制作会社、不動産情報サイトのコンテンツ編集、人材企業のオウンドメディア編集を経験し、2019年に翔泳社に入社。コマースビジネスに携わる方向けのウェブメディア「ECzine」の編集・企画・運営に携わる。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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https://eczine.jp/article/detail/11531 2023/07/07 16:46

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