ルクア大阪があえて自前でECをやらない選択をした理由とは
齋藤(PLAY) ルクア大阪様とは、当社がD2Cブランドのポップアップストアをご支援した際にご縁をいただきました。今回、お話をおうかがいしたいと思ったのは、商業ディベロッパーとしてはECに対して他社とは異なる考えをお持ちだと感じたからです。そのお考えを発信していただくと、ECに対する新たな視点が生まれるのではないかと考えました。まずは河原畑さんの自己紹介からお願いできますでしょうか。
河原畑(ルクア) 大阪駅隣接のショッピングセンター「ルクア大阪」は、JR西日本SC開発株式会社で運営しております。私の経歴を申し上げますと、JR西日本に入社しましたが、ほとんど駅ビル事業の仕事をしてきました。ルクア大阪は2011年5月に開業し、2022年5月で12年目になります。開業のおよそ3年前に設立された準備室の段階から携わり、のべ15年間ルクア大阪の仕事をさせていただいている次第です。
齋藤(PLAY) “ミスタールクア”とお呼びしたくなるようなご経歴ですね。ルクア大阪では、自社で運営するECサイトをお持ちではないですよね。ECを含め、オンラインへのお取り組みに関する理念をお聞かせいただけますか。
河原畑(ルクア) リアルなお店を運営しておりますので、リアルな場の価値を資するオンライン施策に絞ってやっていきたいと考えています。私たちがECサイトを運営することも検討したのですが、ご出店いただいているテナント様各自でECサイトをお持ちですし、コストに見合うほどの潜在ニーズがないのではないかと思うようになりました。
齋藤(PLAY) では、どのような役割を果たしたいとお考えですか?
河原畑(ルクア) 私たちの仕事はプラットフォーマーです。商売をしたいテナント様と、お買い物や食事をしたい一般消費者のお客様をつなぐのが役割であり、どちらも私たちにとって顧客であり、両方のニーズにお応えしたいと思っております。自前の調査ではないのですが、一般消費者の方の趣味に関するアンケート調査が行われ、公開されています。5年ほど前までは、女性の趣味のランキングの上位にショッピングが入っていました。しかしここ最近では、ショッピングがランク外に落ちてしまっている。この調査結果に対し、非常に危機感を覚えました。ショッピングやファッションの楽しさを上げる、そのための場づくりが私たちの役割であり、業界への貢献ではないかと考えています。
齋藤(PLAY) 私も若い頃は、百貨店さんや隠れたセレクトショップに見つけに行くことも含め、ショッピングにワクワク感を持っていました。それが今では、効率化のほうへ傾きつつあるのではないでしょうか。当社としては、買い物体験を向上し、楽しくしていきたいという思いがあり、ルクア様の理念に共感させていただいています。
それでは、買い物体験を向上するために取り組んでいらっしゃることをご紹介いただけますでしょうか。