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ECzine Day 2024 Autumn

2024年8月27日(火)10:00~19:15

[ECzine Press Summer 2022]CXのプロ3社に聞く!DX時代のCX(AD)

消費者と企業の満足度にミスマッチ!? 調査データから読み取るDX時代のCX向上施策とは

「顧客のために何をどうしたいのか」 目的ありきのデータ管理・分析を

安藤 企業の顧客分析の状況を尋ねた調査結果もあります。しかし、分析を「実施できている」と言っても、形骸化している企業は少なくない。竹谷さんがおっしゃる「チャネルのデザイン」も、米林さんがおっしゃる「チャネル連携による全社的なCX」も、顧客分析とそのためのFAQデータの一元化がファーストステップになると思います。その結果、常にデータベースに対してフィードバックがかけられ、新しい状態であることが望ましいですね。 金融系の企業様には、FAQがナレッジマネジメントデータベースとしてクラウドで一元管理されている例が出てきていますが、誰がどうイニシアチブをとって運用・更新していくかすら決まっていない企業がほとんどです。調査結果によれば、8割の企業が顧客分析が「必要」、5割が「実施できている」と回答していますが、「何のために」「誰が」「何を」分析するのかまでは、なかなか答えられないのではないでしょうか。

米林 どの部署がイニシアチブを取るのか、実際の運用を行うのかといったことに悩んでいる企業も多いです。たとえば、FAQのデータベースがあったとして、そこから消費者自身に欲しい情報を検索してもらうことは難しいため、企業側がニーズを予想し、抽出しやすくする必要が生じてきます。ならばイニシアチブをとるのはマーケティング部門が適しているように思いますが、従来の役割分担では難しいでしょう。各部門が連携して取り組むという合意形成、目的の共有化が必要だと思います。

竹谷 顧客の声はコンタクトセンター、ウェブ関連はマーケティング、コンテンツはサービス部門といった具合に担当分けし、その上でデータベース上で密に連携する仕組みができているところはFAQの運用がうまくいっていますね。うまくいっていない場合は、ホームページ担当者が年に一度更新する程度で、消費者のニーズに応えられないウェブサイトのQ&Aが出来上がります。

米林 体制のほか、マインドの問題も大きいですね。データ統合や分析は時間がかかる一方で、コンタクトセンターはとりあえず人が頑張りさえすればCS(顧客満足)は上がる。そのためCX向上へのデータ活用や全社的な取り組みがうやむやになるケースも多いです。しかし、それでは本質的な解決には至りません。そもそもコンタクトセンターは「お客様のために」という目的で開設されたはずです。それがいつの間にか、ある時期に設定されたKPIの達成が目的に変わり、ルーティンワークをこなすだけになっている。新しい取り組みは「自分の範疇ではない」と進まないわけです。

安藤 KPIの形骸化はとても残念ですよね。CX向上という共通の目的意識をもって取り組もうとする社内のムーブメントを、顧客に近いコンタクトセンターが中心となって牽引できると望ましいのですが。 竹谷 そう思います。よく経営層の方が「現場の巻き込み」といった言いかたをされますが、現場からの「経営の巻き込み」が大事なんですよね。経営層は「巻き込まれ」る立場というか。

米林 巻き込まれないのは、経営層に顧客意識が希薄だからではないかと感じます。実際に現場に立ち、消費者に接しているトップがどれくらいいるのでしょうか。現場の肌感覚を得てもらうことが大事です。たとえば、先ほどの調査結果にあった「スムーズな対応ができていない」場合、A属性にはA対応、B属性にはB対応をしていこうといった割り切り型の対応になりがちですが、シンプルに行動からトラブルを捉え「リーズン」に対応していかなくては満足度は上がりません。トラブルをしっかり把握すること、対応する窓口をきちんと準備しておくことに尽きるのですが、その最適解は消費者起点で考えなければ出てきません。

竹谷 シンプルですが、それが欠けていると顧客満足度が頭打ちになりますよね。しっかりとデザインされていて内容も良いのだけれど、消費者の行動に合っておらず伝わっていないこともよくあります。現状も含めて分析をきちんと行い、施策の改善につなげることが大切です。なお、たとえばプッシュで「よくある質問」を送ったり、「お問い合わせ」にすべてのチャネルを記載したり、「○日後にお返事します」と状況を伝えたり、消費者の行動と気持ちに沿う施策の知見は貯まっています。そのあたりはぜひ、外部のプロフェッショナルに頼っていただければと思います。

顧客分析について企業に「必要か」を尋ねた結果8割が「必要である」と回答
顧客分析について企業に「必要か」を尋ねた結果8割が「必要である」と回答(クリックすると拡大します)
画像を説明するテキストなくても可
顧客分析を「行っている」と回答した企業が過半数

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この記事の著者

伊藤 真美(イトウ マミ)

フリーランスのエディター&ライター。もともとは絵本の編集からスタートし、雑誌、企業出版物、PRやプロモーションツールの製作などを経て独立。ビジネス系を中心に、カタログやWebサイト、広報誌まで、メディアを問わずコンテンツディレクションを行っている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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