点在するデータを統合する難しさ 存在しないデータはどう作るのか
A社のケースの場合、次のふたつの準備作業が必要となる。
- 基幹システムにないデータを作成する
- 基幹システムに散らばっているデータを統合する
図のように、「顧客ID」「氏名」「メールアドレス」「年代」「LINE ID」は顧客データから、「商品ID」「商品名」は商品データから取得することが可能だが、「最終購入日からの経過日数」と「EC未購入者フラグ」は前出したように既存データからの演算・生成が必要となる。宮川氏は、施策実施用のデータを準備するために必要な9つのタスクを図で示しながら、このように説明する。
「『最終購入日からの経過日数』を導き出すには、受注データから顧客ごとの最終購入日時を特定し、最終購入日からの経過日数がわかるカラムを作成する必要があります。また、受注データや商品データなどの複数のデータをひとつにまとめるためには、両方のデータにあるカラムをキーにして、統合をする必要があります」(宮川氏)
たとえば後者の統合作業には、ExcelのVLOOKUP関数のような処理が必要となる。これらの作業をCDPツールを使って行うには、データ加工や統合のためにSQLと呼ばれるプログラミング言語を書かなければならないが、作業できる人が限られる点が多くの企業の課題となっている。
「A社のマーケティング部門にはSQLを使える人材がおらず、一度は情報システム部門のエンジニアに依頼する形で話が進みました。しかし、ほかのタスクを抱えているなどの理由から着手が3ヵ月後となることが判明し、実施したかった施策や分析が一向に進みませんでした」(宮川氏)
A社がぶつかったもうひとつの壁は、ツール費用だ。
「データの準備に時間を要している間も、ツールの利用費はかかります。A社の場合、3つのツールを合わせて月間で約135万円、年間で約1,620万円のコストが発生していました」(宮川氏)
費用対効果を鑑みて、A社は課題解決するためのツールを再び探すこととなった。そこでb→dashと出会い、前出したふたつの壁を短期間で乗り越え、成果につなげることができたと言う。