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ECzine Day 2024 Autumn

2024年8月27日(火)10:00~19:15

ECzine Day 2021 December レポート(AD)

コロナ禍でもEC売上200%増 大手アパレル企業が短期間で成果を創出したデータ活用の秘訣とは

 コロナ禍の影響で進んだDX推進。小売企業にとって、事業構造改革のためのデータ活用は命題のひとつとなっている。しかし、多くの企業では十分なデータ活用ができていない、もしくはかけたコストほどの成果を上げることができていないのも実情だ。実際にデータ活用やECと実店舗の連携を成功に導くには、どのような施策が考えられるのだろうか。2021年12月7日に開催された「ECzine Day 2021 December」にて、株式会社データX Marketing Unit / Managerの宮川雄希氏が大手アパレル企業の事例を基に、EC売上200%を実現したデータ活用方法について講演を行った。その模様をお届けする。

大手アパレル企業が店舗→ECの送客でぶつかった壁

株式会社データX Marketing Unit / Manager 宮川雄希氏

 データマーケティングプラットフォーム「b→dash」を提供するデータX。同プラットフォームを導入して短期間で主要KPIを改善したアパレル企業A社の事例を、宮川氏は紹介した。

 A社は全国に約30の実店舗とECサイトを運営しており、実店舗で約150万人、ECで約90万人の会員を抱える大手アパレル企業だ。2020年初頭までは売上が堅調に伸びていたが、同年4-6月期には新型コロナウイルス感染症拡大の影響で売上が大きくダウンした。

 一方でEC売上に目を向けると、2020年初頭までは緩やかな成長曲線を描いていたが、実店舗の売上が急落した同年4-6月期に60%増を記録していたと言う。

 こうした状況を踏まえ、A社は実店舗で購入経験がある会員に対し、メールやLINEでEC限定のクーポンを配布し、EC会員と売上の増加を目指す方針を立てた。そして、施策の実現と成果を可視化する分析レポートの作成を目指し、MA(Marketing Automation)、BI(Business Intelligence)、CDP(Customer Data Platform)ツールをそれぞれ導入したが、利用を進める上でA社はふたつの壁にぶつかる。

 ひとつめは、ツール導入/運用の壁だ。基幹システムなどにすでにデータは存在していたが、宮川氏は「施策や分析に必要なデータの準備に時間がかかっている状態で、導入から1年後の2021年4月時点においても施策や分析を開始できていなかった」とA社の当時の状況を振り返る。

 A社が適切に実店舗で購入経験のある会員にメールやLINEで案内をするには、次の情報が必要であった。

  1. 顧客ID
  2. 氏名
  3. メールアドレス
  4. 年代
  5. LINE ID
  6. 商品ID
  7. 商品名
  8. 最終購入日からの経過日数
  9. EC未購入者フラグ

 しかし、こうしたデータが自社の基幹システム内のひとつのテーブルにきれいに収まっているケースは一般的ではない。データの統合や加工を行うことで、初めて施策や分析に必要なデータを整合性のある形で取り出せるようになるが、 「施策の実施に必要なカラム9つのうち、7つは顧客データ・商品データ内に存在していたものの、ふたつは顧客データや商品データ、受注データを加工、統合した上で新たなデータを生成する必要があった」と宮川氏は語る。

点在するデータを統合する難しさ 存在しないデータはどう作るのか

 A社のケースの場合、次のふたつの準備作業が必要となる。

  • 基幹システムにないデータを作成する
  • 基幹システムに散らばっているデータを統合する

 図のように、「顧客ID」「氏名」「メールアドレス」「年代」「LINE ID」は顧客データから、「商品ID」「商品名」は商品データから取得することが可能だが、「最終購入日からの経過日数」と「EC未購入者フラグ」は前出したように既存データからの演算・生成が必要となる。宮川氏は、施策実施用のデータを準備するために必要な9つのタスクを図で示しながら、このように説明する。

「『最終購入日からの経過日数』を導き出すには、受注データから顧客ごとの最終購入日時を特定し、最終購入日からの経過日数がわかるカラムを作成する必要があります。また、受注データや商品データなどの複数のデータをひとつにまとめるためには、両方のデータにあるカラムをキーにして、統合をする必要があります」(宮川氏)

 たとえば後者の統合作業には、ExcelのVLOOKUP関数のような処理が必要となる。これらの作業をCDPツールを使って行うには、データ加工や統合のためにSQLと呼ばれるプログラミング言語を書かなければならないが、作業できる人が限られる点が多くの企業の課題となっている。

「A社のマーケティング部門にはSQLを使える人材がおらず、一度は情報システム部門のエンジニアに依頼する形で話が進みました。しかし、ほかのタスクを抱えているなどの理由から着手が3ヵ月後となることが判明し、実施したかった施策や分析が一向に進みませんでした」(宮川氏)

 A社がぶつかったもうひとつの壁は、ツール費用だ。

「データの準備に時間を要している間も、ツールの利用費はかかります。A社の場合、3つのツールを合わせて月間で約135万円、年間で約1,620万円のコストが発生していました」(宮川氏)

 費用対効果を鑑みて、A社は課題解決するためのツールを再び探すこととなった。そこでb→dashと出会い、前出したふたつの壁を短期間で乗り越え、成果につなげることができたと言う。

事例から導き出した成功への近道を提示 データ活用を円滑にするb→dash

 では、A社は具体的にどのような方法で課題をクリアしたのだろうか。宮川氏は、b→dashのオンボーディングプログラムの特徴に触れながら、説明を続ける。

 ひとつめの理由として挙げられたのは、「施策/分析の企画時間を短縮できる」という点だ。どのような施策を実施すべきか、どのようなレポートが必要か、それらの判断軸としてどのような分析を行うべきかといった多くの課題に対して、b→dashでは業種・業態を27セグメントに分けた鉄板施策や分析をすぐに活用できる環境を初期構築する。

「A社のようにEC・店舗でオムニチャネルを実施したいケースであれば、37のシナリオ施策、23のウェブ接客施策、40の分析レポートを用意しています。これまでの数々の事例から導き出したベストプラクティスを、導入初期から活用することが可能です。こうした成功への近道があることで、データ活用の方針検討や施策実施に悩む時間を削減できます」(宮川氏)

 ふたつめは、ひとつめで説明したように、実施する施策や分析が決まっていることにより、施策や分析ごとに必要なデータが明らかになっているため、「必要データの洗い出し時間を短縮できる」こと。導入時はヒアリングシートへ回答をすれば、既存データの活用で実行できるのか、新たにデータを生成しなければならないのかといった判断を速やかに行える。

 データの持ちかたは、管理システムによってさまざまである。たとえば、顧客の性別を「男」「女」と文字データで登録しているケースもあれば、数値データを用いて0を「男」、1を「女」と登録しているケースもある。こうした違いを吸収する仕組みを備えている点も、b→dashの特徴と言えよう。

 3つめに宮川氏が挙げたのは、「必要データの準備時間を短縮できる」点だ。SQL不要で、コードを記述することなくデータの加工や統合ができる「Data Palette」機能を備えたb→dashでは、データの準備も短期間で実現可能となっている。

「Data Paletteから希望するテンプレートを選択し、必要なデータとカラムを選択するだけで実施したい施策に必要なデータが準備できます。画面から項目を選ぶ操作のみで完結できる点が特徴です」(宮川氏)

 A社は、社内のエンジニアに依頼して3ヵ月後の着手になると言われたデータの準備を、b→dashを用いてマーケターが自ら行い数日で実現。なお、データXではさらに準備期間を短縮したい企業向けに、b→dashのカスタマーサクセス担当がデータの準備作業を代行するサービスも追加費用なしで提供していると言う。

 b→dash導入・活用により、A社は準備に1年以上時間をかけても施策が開始できていなかったところから一変、短期間でアクションを起こすことに成功した。また、ツールの利用コストを約2分の1に削減できたほか、同一ツール内にBI、CDP機能が存在することでデータ連携に発生していた作業も大幅にカット。「手動の作業がなくなることで、トラブルの芽を摘む効果もある」と宮川氏は語った上で、「b→dashを使いこなすことで、A社は2021年7-9月期にEC売上を200%アップさせている」と説明し、講演を締めくくった。

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【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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