使いかたレクチャーや商談活用 情報の出し分けにも見える進化
EC化率が上昇し、新規顧客も増えている昨今。次々とEC上に新機能が出現する中、店頭でもセルフレジの普及など、デジタル活用が進んでいる。こうした新サービスは利便性向上など得るものも大きいが、「顧客が使いかたを覚える」というステップを踏む必要があるのも現実だ。直感的なUI/UXを意識しても、デジタルに明るくない顧客から質問が寄せられる可能性もある。こうした問い合わせに店舗スタッフが逐一対応するのは人員配置や業務の都合上難しい場合もあることから、「店頭のサイネージや端末内で流すハウツー動画の制作需要が増えている」と久保田さんは語る。
「サイネージは周知を促す効果も大きく、事業者が活用機会を積極的に創出しようとする様子が見受けられます」
コロナ禍では、店頭サービスも非接触方式の利用が推奨され、人々とデジタルの距離は徐々に近づきつつあるが、とくにスーパーなど顧客層が幅広い事業者においては顧客のスキルに個人差が出ていることも課題と言える。そのため全員に同じ動画で情報を伝えるのではなく、端末と保有する顧客データを連携し、利用頻度や傾向に合わせた出し分けを行うといった工夫も徐々に始まっている。
「顧客のリテラシー向上により、事業者のデジタル端末での動画活用は変化し続けていくでしょう」
動画活用の場面は、BtoBの商談や社内研修といった場にも広がっている。従来は商談時に口頭で説明していたツールやサービスの概要、特徴なども動画化すれば営業クオリティの向上や効率化につながる。全国各地に点在する社員を本社に集めて行っていた研修も、動画化すれば移動時間、交通費などのコストが削減可能だ。
「これまでは担当する営業社員の年次やスキルによって提供できる情報に差が生じ、機会損失があったのも事実です。たとえば、ツールやサービスが生まれた経緯、特徴、事例など共通して伝えるべき内容を動画化すれば、情報提供の質を上げることができます。すると、新人でもベテラン社員でも一定レベル以上の営業活動ができ、売上向上につながる可能性が高まります。より社員の個性や強みを発揮する業務に重きを置けるようになれば、モチベーション向上にもつながるはずです」