GMOシステムコンサルティングと、量子コンピュータと機械学習を中心に事業を展開しているblueqatは、ECサイトにおける量子コンピュータの活用に向けて協業を開始した。
同協業では、GMOシステムコンサルティングが提供する柔軟なカスタマイズができるECパッケージ「GMOクラウドEC パッケージEC」と、blueqatが持つ量子コンピュータを活用するためのクラウド環境である「blueqat Cloud」および同社の研究開発の成果を連携させる。
同協業を通じ、これまでGMOシステムコンサルティングが量子コンピュータを用い取り組んできた「組み合わせ最適化」(多くの組み合わせから最適なものを求めること。ECでは、商品のリコメンドなどへの応用が期待されている)のさらなる深化、および、blueqatが取り組む量子コンピュータによる「画像認識」や「自然言語処理」などを「GMOクラウドEC パッケージEC」に適用することを検討していく。
これらの取り組みにより、量子コンピュータの高速計算処理が商品陳列やリコメンドや商品検索に対して、既存のコンピュータでは難しかった、ついで買いを誘発するような適度なばらつきを発生させるなど、ECサイトにおける新たな顧客体験(CX)が提供できると期待されている。
同協業により目指す新たなCXの想定例は、次のとおり。
「組み合わせ最適化」によるECサイト表示の最適化
GMOシステムコンサルティングでは、これまでも「量子アニーリング」(主に組み合わせ最適化問題の計算に使用される理論)を中心として組み合わせ最適化に取り組んできたが、同協業でblueqatとともに、汎用的な量子ゲート型マシンで最適化問題を解くアルゴリズムである「QAOA」(Quantum Approximate Optimization Algorithm)への取り組みも開始する。組み合わせ最適化は、ECサイトにおける商品の陳列方法や、リコメンド商品の選択などにおいて活用することを想定。通常のリコメンドと違い、計算結果にもとづく適度なばらつきが発生するなど、ついで買いの増加が期待される。
画像認識の活用による商品ラインアップの最適化
量子コンピュータによる画像認識では、ECサイトで使われている商品画像の特徴を抽出し、商品ラインアップの最適化などに活用することが想定される。商品画像の特徴抽出は膨大なデータを扱うことになるため、将来的には機械学習の技法を超えることが期待される。
自然言語処理の活用による検索結果・サジェストの最適化
量子の特性である「量子もつれ」(quantum entanglement)(量子どうしが互いに影響を及ぼす関係。量子コンピュータでは、量子もつれの現象を利用し、高速計算処理を可能にしている)を活用し、文章中の単語同士が離れていても意味が把握できるように。この自然言語処理機能を活用することにより、検索結果の最適化や検索時に表示されるサジェストの最適化などへの応用が想定される。