クラスメソッドは、自社が日常的に企業顧客向けに支援しているモバイル、クラウド、センサー、AIなどの各種のデジタルテクノロジーを駆使し、新しい店舗体験をコンシューマー向けにサービス提供する実験店「Developers.IO CAFE」を2019年2月にオープンした。
同店では現金を扱わず、注文や支払いをスマホアプリに限定している。また、時間帯に応じたメニューの調整など、店舗運営中でも柔軟にコントロールすることが可能。さらに顧客ごとのステータスに応じて動的な値付けや特別なサービスを提供することもでき、ロイヤリティの高い顧客との関係を構築できるようになっている。
店に行く前に注文して来店と同時にピックアップ
モバイルからの注文に特化することで、店舗の外から注文することも可能になった。必要に応じてGPSやビーコンを組み合わせて来店を予測し、タイムリーなサービス提供を実現する。商品の持ち帰りを希望するユーザーは、店内のデジタルサイネージで自分の注文がどのステータスにあるか確認することも可能。
センサーを活用したウォークスルー決済
同店には物販エリアが併設されており、スマホアプリをかざしてチェックインすることで、レジレスの店舗体験をすることができる。店内に設置された各種センサーとつながったシステムにより、どの顧客がいつどの商品を手に取って持ち去ったかを把握することも可能。顧客が物販エリアの外に出ると、自動的に決済まで完了する仕組みとなっている。
各センサーは独立して動いているが、クラウド側で総合的な推定を行っていて、顧客ごとの動線の確認、カゴ入れ、カゴ落ち、購入などの判定が可能。手に取ったけれども結果的に購入しなかった商品については、退店後にクーポンや詳細情報を通知することで、後追いをすることもできる。この仕組みは2018年6月より実験を重ね、今回一般ユーザーの利用が可能になった。
今後は店内だけの体験にとどまらず、周辺オフィスへの宅配やECとの連携、イベントやワークショップへの送客、友人へのメッセージ付きギフト、クレジットカード決済以外の支払い方法(交通系ICカード、QRコード系など)、サブスクリプションによる飲み放題への対応などを進めていく。
また、クラウド型のコールセンターを導入することで、混雑状況や在庫の確認といった問い合わせには店舗のリアルタイムなデータに基づき自動的に応答。注文傾向の分析やセンサーによる在庫状況の確認により、食材の自動発注を行う。これらの施策によって現場とITをつないだ一気通貫のノウハウを蓄積し、既存の企業顧客向けに付加価値の高いサービス提供に努める。そして、カフェに限らず他業態のオフラインの体験をオンラインと境目なく繋げ、店舗運営の改善やサービス向上に繋がる実験店の運営を継続的に実施する。