アドビは2024年3月26日、生成AIとリアルタイムのインサイトを通じ、大規模なone to oneのパーソナライゼーションを提供可能にする法人向けイノベーションを発表した。具体的な内容は次のとおり。
「データ」におけるイノベーション
新ソリューションは、インサイトの活用やパーソナライゼーションの大規模な実施を可能にする基盤の構築によって、企業のデータ管理を支援する。これは「Adobe Experience Platform」を中核とするもの。統合された一連のアプリケーションを通じ、様々な企業内システムをまたいで顧客データを活用できる。
Adobe Experience Platform AI Assistant
「Adobe Real-Time Customer Data Platform」「Adobe Journey Optimizer」「Adobe Customer Journey Analytics」などのアプリケーション内で、技術的な質問への回答、タスクの自動化、結果のシミュレーション、オーディエンスやカスタマージャーニーの生成を行うシンプルな対話型インターフェイスを提供する。
Federated Audience Composition
エンタープライズデータウェアハウスやデータプラットフォーム(「Amazon Web Services Redshift」「Azure Synapse」「Databricks、BigQuery」「Snowflake」)からのオーディエンスおよびデータを直接結合できるようにし、データ管理の柔軟性と効率性を提供する。これにより、Adobe Experience Platformのリアルタイムおよびクロスチャネルユースケースを拡張できる。
Adobe Real-Time Customer Data Platform (CDP) Collaboration
新しいクリーンルームアプリケーションで、ブランドとパブリッシャーは価値の高いオーディエンスを発見してリーチ、測定するために、プライバシーに配慮した方法でコラボレーションできる。Real-Time CDP Collaborationは、クッキーレスでも顧客データ管理における重要かつ必要な要素となる。
「コンテンツ」におけるイノベーション
アドビは、企業がコンテンツサプライチェーンを推進するための統合製品群を提供している。コンテンツサプライチェーンは、マーケティングキャンペーンやパーソナライズされた顧客体験で活用するコンテンツを提供するためのビジネスプロセス。「ワークフローとプランニング」「制作とプロダクション」「アセット管理」「配信とアクティベーション」「インサイトとレポーティング」の5つの主要な要素で構成されている。
アドビが「Adobe GenStudio」に追加する生成AIファーストの新機能とAdobe Experience Cloud・Creative Cloudのネイティブな統合により、マーケターはブランドに沿ったコンテンツの計画、制作、管理、アクティベーション、測定が迅速に行えるようになる。
ワークフローとプランニング
「Adobe Workfront Planning」は、マーケティングライフサイクル全体にわたるすべてのアクティビティを一元的に把握し、戦略的なプランニングと納期の短縮を実現する。
制作とプロダクション
「Adobe Firefly Services」と「Custom Models」により、企業のコンテンツ制作とその規模に合わせたパーソナライゼーションが可能。手作業をなくすと同時に、ブランドに沿ったアウトプットを生成する。
アセット管理
「Adobe Experience Manager Assets contents hub」により、ブランド管理されたアセットを企業内や外部パートナーなどに容易に配布可能となる。contents hubは、Adobe GenStudioとAdobe Experience Manager Assetsの間にシームレスな接続ポイントを形成。全ユーザーがアセットを検索して、オールインワンのコンテンツ作成アプリケーション「Adobe Express」のFireflyでパーソナライズされたバリエーションを作成できる。
配信とアクティベーション
「Adobe Experience Manager Sites」のバリエーション生成機能により、企業は様々なオーディエンス中心のブランドに沿った広告コピー、パーソナライズされたマーケティングアセットのバリエーションを作成できる。また、「Edge Delivery Services」により、可能な限り最速のページ読み込み時間を実現する。
Adobe Experience Manager Sitesのドキュメントベースのオーサリング機能では、幅広い関係者が「Microsoft Word」や「Google Docs」でWebページを制作できる。
インサイトとレポーティング
「Adobe Content Analytics」は、どのアセット(AIが生成したアセットを含む)やキャンペーンが最高のパフォーマンスを発揮しているか、その属性までも含めて理解可能にする。得られたインサイトは、Web、ストリーミング、製品内を測定する「Adobe Customer Journey Analytics」上に構築される。
「カスタマージャーニー」におけるイノベーション
企業は、様々なチャネルで消費者と接する際に、その行動や嗜好の変化をリアルタイムで把握し、新しい体験を提供できる。
Adobe Experience PlatformとAdobe Journey Optimizerの統合された実験
マーケターやプロダクトマネージャー、開発者は、強化された統計モデルを活用して、カスタマージャーニー内で実験やディシジョニング(ルールに基づく代替提示)機能を活用できる。これにより、コミュニケーションチャネル全体でのオファーの再利用の促進や、コンバージョンを最大化するための理想的な顧客経路の最適化が可能となる。
Adobe Journey Optimizer
企業主導のジャーニーオーケストレーションを強化し、オーディエンス中心のキャンペーンをリアルタイムの顧客シグナルと連携。適切な顧客を獲得し、タイミングを逸したマーケティングコミュニケーションを回避する。
Adobe Journey Optimizer B2B Edition
Adobe Experience Platform上に構築された新しいアプリケーション。購買グループ内の特定アカウントを対象にした、ジャーニーオーケストレーションに焦点を当てている。BtoBの収益ライフサイクル全体を通じて、営業とマーケティングのコラボレーションを再構築する。
Fireflyの新機能
「構成参照」は、新規生成画像に既存の画像の構図を容易に適用できる新機能。既存の画像を参照テンプレートとして使用することで、ユーザーは同じレイアウトで複数の画像バリエーションを生成できる。既にリリースされている「スタイル参照」(スタイル参照画像を取り込んでプロンプトに適用する機能)を組み合わせることで、ユーザーは画像の構図とスタイルの両方を参照し、アイデアを形にできる。