PwCコンサルティングは、日本たばこ産業(以下、JT)が2023年7月から一部の部署を対象に実施している、業務改善を目的とした生成AI活用に関する実証実験第1フェーズを支援。第1フェーズの結果を踏まえ、さらに対象部門を拡大して展開する実証実験第2フェーズを10月以降も支援することを発表した。
JTでは従来、テクノロジーおよびデータ活用を重要な経営議題のひとつとして位置づけており、新たな技術の導入や大量のデータ分析などを通じて効率的かつより高度な業務プロセスの実現に取り組んでいる。急速に広がりを見せる生成AIについてもIT部が主導し、従来のAIと同様に適所での活用検討を開始している。
しかし、同社の「生成AIに関する実態調査 2023」でも明らかになった通り、JTにおいても生成AIの業務への活用イメージが薄く、具体的なユースケースが浮かびにくいという課題に直面していたという。
同実証実験はこういった課題に対応するもので、フロント業務からバックオフィス業務に至るまで、生成AIで何ができるのかを社員が理解し、実業務でインパクトのある具体的な生成AIのユースケースを創出することを重視。最終的には、生成AI導入価値のある部門それぞれへの最適な生成AI実装を企図している。
具体的には、両社が2023年4月から6月にかけて業務改善の共通基盤としてJTのセキュアなIT環境にて開発した、公開情報および実業務で使用する社内情報を参照できる生成AI検証プラットフォーム「JT Group AI Concierge(以下 JAC)」を、実証実験第1フェーズに参加する不動産室、人事部、CountryLegal(法務部)の3部署に提供。
実証実験に参加する社員は実際に生成AIを業務に取り入れ、生成AI活用のニーズを洗い出した上でワークショップに参加し、それぞれの部署の業務改善につながるユースケースのアイディエーションを行うほか、JACのユーザビリティや精度検証にも取り組む。
実証実験の第1フェーズ後は、部門ごとのJACをベースとした個別システム開発や連携するSaaSの選定、JAC本体の改良、他部門へのさらなる展開を予定。これにより、実務に即した効果的なユースケース創出およびガバナンスを担保したうえでのスムーズな生成AI実装を実現し、データ活用の実現に向けた全社的な社内支援スキームの検討と推進を目指すとしている。
本件においてPwCコンサルティングは、一連の業務トライアルおよび効果検証の企画運営支援など、JAC本格導入に向けた一連の活動を伴走支援。具体的には、JACの環境構築やアプリケーション開発、JACへ読み込ませるデータの前処理、アルゴリズムのチューニングやログ解析などの技術検証、実証実験参加予定部門からのニーズ収集分析を含むワークショップの企画運営や次フェーズ検討などを含むとのこと。