アドビは、2022年のホリデーシーズンにおけるオンラインショッピングデータを発表した。
調査期間は感謝祭、ブラックフライデー、サイバーマンデーを含むショッピング期間であるサイバーウィーク(11月24日〜28日)。アドビの分析ソリューション「Adobe Analytics」を通じて得られたオンラインでの商取引データによる。米国の小売サイトへの1兆回以上の訪問、1億個のSKU、18の製品カテゴリーから得られたデータに基づいている。
データ分析の結果
サイバーマンデー(11月28日)の消費額は113億ドルで、前年同期比5.8%増に。結果として、今年のサイバーマンデーは、同社の調査によればシーズン中や年間を通してだけでなく、歴史上最高額のオンラインショッピングの日となり、ピーク時(太平洋時間の午後8時〜9時)には毎分1,280万ドルが消費された。過去最高の消費額となった11月24日の感謝祭(52億9,000万ドル、前年同期比2.9%増)と11月25日のブラックフライデー(91億2,000万ドル、同2.3%増)にも後押しされ、サイバーウィーク全体の消費額は353億ドル(同4%増)に達し、多くのカテゴリーで実施された大幅な値引きが寄与した。
2022年のホリデーシーズンは好調なスタートを切っており、11月28日時点で消費者はすでに1,077億ドルをオンラインで消費し、前年同期比8.7%増となっている。割引の前倒しと実施回数の増加により、これまでに1日のオンライン消費額が20億ドル超えを達成したのが8日、30億ドル超えが20日を数えた。同社は、ホリデーシーズン全体の消費額が前年比2.75%増の2,101億ドルに達すると予想している。
成長を牽引するEコマース
サイバーマンデーでは、2022年10月の平均的な日と比較してオンライン売上が684%増加した玩具をはじめ、エレクトロニクス(同391%増)、コンピュータ(同372%増)などの長年人気のあるカテゴリーが記録的な消費を牽引した。そのほか、スポーツ用品(同466%増)、家電製品(同458%増)、書籍(同439%増)、宝飾品(同410%増)などのカテゴリーで強い需要が見られた。
サイバーマンデーでもっとも売れたのは、玩具ではポケモンカード、レゴ、ホットウィール(ミニカー)、『ミラベルと魔法だらけの家』関連(キャラクターグッズ)、LOL Surprise Dolls(ファッションドール)、『ココメロン ~うたってまなぼう~』関連(キャラクターグッズ)、うまれて!ウーモ(育成型ペット玩具)など。ゲーム機本体では、PlayStation 5、Nintendo Switch、Xbox Series X、ゲームでは、FIFA 23、ゴッド・オブ・ウォー ラグナロク、Madden NFL 23、NBA 2K23、ポケットモンスター スカーレット・バイオレットなどが上位にランクインした。サイバーマンデーのそのほかの売れ筋は、スマートテレビ、Apple AirPods、Apple MacBook、タブレット、スマートウォッチ、インスタントポット、エアフライヤーなどだった。
そのほかのインサイト
過去最高を記録した値引き率
サイバーマンデーでは、エレクトロニクスにおいてピーク時に表示価格から25%の値引き(2021年の値引きは8%)という、大幅な値引きが実施された。そのほか、玩具が34%オフ(同19%)、コンピュータが20%オフ(同10%)、テレビが17%オフ(同11%)、アパレルが18%オフ(同13%)、スポーツ用品が10%オフ(同6%)、家具が8%オフ(同2%)、家電が16%オフ(同4%)と、同社が調査するすべてのカテゴリーでディスカウントが行われた。
モバイルショッピングが再び脚光を浴びる
今年の感謝祭では、オンライン販売の55%がスマートフォン経由となり、モバイルショッピングの割合は過去最高を記録(2021年の51%から上昇)。サイバーウィークでもモバイルショッピングは好調で、全体の51%(46%から上昇)と同期間において初めて売上の大半を牽引し、サイバーマンデーも43%(40%から上昇)となった。この好調な伸びは、小売業者による顧客体験への投資により、この数ヵ月でモバイルショッピングがいかに改善したかを示しているとのこと。
後払い決済(BNPL:Buy Now Pay Later)が消費者に柔軟性を提供
消費者は、不透明な経済環境が続くなか、後払い決済を利用し始めた。サイバーウィーク期間中、前週と比較して、後払い決済を利用した注文は85%増加し、売上は88%増加した。
駐車場受け取りサービス(Curbside Pick Up)の利用が減少
より多くの消費者が実店舗で買い物をする傾向にあり、サイバーウィーク期間中の駐車場受け取りサービスの利用は控えめに。感謝祭とブラックフライデーの両日、オンライン注文のうち、このフルフィルメント方式が利用されたのは13%で、前年の21%から減少した(同サービスを提供している小売業者の場合)。サイバーマンデーでは、オンライン注文の17%で駐車場受け取りサービスが使用され、2021年の18%から減少した。
マーケティング投資の影響
サイバーウィーク期間中、小売企業の主要マーケティングチャネルにおいて引き続き売上にもっとも貢献したのは検索連動型広告(オンライン売上高の28%)。ダイレクト流入(同18%)、アフィリエイト/パートナー経由(同18%)、電子メール(同17%)、オーガニック検索経由(同15%)も主要な貢献者だった。SNSに直接起因する収益は、サイバーウィーク期間中の総売上の5%未満に留まったものの、そのシェア率は前年同期比27%増となった。
インフレの影響
サイバーウィーク期間中の堅調な消費者支出は、上昇した商品価格だけではなく、新規の需要増加によってもたらされた。18カテゴリーのEコマース価格を追跡するDigital Price Index(DPI)によると、ここ数ヵ月、オンライン価格はほぼ横ばい(2022年10月は前年同月比0.7%減)であることがわかる。同社の数値はインフレ調整されていないが、オンラインのインフレを織り込んだとしても、根本的な消費者需要の伸びはあると推察している。