アリババグループの物流部門であるツァイニャオ・ネットワーク(菜鳥網絡/以下、ツァイニャオ)は、11月に開催される中国最大のショッピングイベント「天猫ダブルイレブン・ショッピングフェスティバル」を前に、海外企業向けの物流支援策を発表した。現時点で、ダブルイレブンの予約販売開始に合わせて、世界中の200港から3億7000万点以上の商品が、ツァイニャオの保税倉庫、中央倉庫、海外GFC倉庫を含むさまざまな倉庫に在庫管理されているという。
今年のダブルイレブンに先立ち、同社は「越境ECに携わる企業向けの商品管理ガイド」を公開。そのなかで、倉庫、通関手続き、ラインホールや配送など、中国へ商品を届けるうえで海外企業が困難に感じている分野を特定し、この課題を解決する5つの支援策を公表した。同支援策の詳細は、次のとおり。
輸送時間短縮とコスト削減のため、長距離輸送と倉庫スペースを拡充
今年同社は、長距離輸送サービスを20%増やし、自社運営の保税倉庫のスペースを倍増させるなど、中国向け越境物流サービスを強化した。このサービスは、日本、ヨーロッパ、米国、韓国、オーストラリア、東南アジアなどの主要市場を網羅すると同時に、航空、海上、道路、鉄道などあらゆるルートを含む400の幹線輸送に対応する。海外企業は、コストや時間などの条件に基づき輸送方法を選択し、貨物スペースを確保したうえで運賃を確定。また、物流チェーンのフル可視化と異常検知により、必要に応じて迅速に対応することが可能となる。これにより、輸送時間は2〜3日短縮され、コストは前年比で最大20%削減。さらに、同社はフルフィルメント業務専属の担当を配置し、物流チェーン全体の稼働と全体的な出荷効率を監視しているという。
デジタル化された通関申告システムで菜鳥が連携している中国側すべての港の通関を支援
ダブルイレブンの期間中、税関申告に必要な通関データはバックアップされ、異常があった場合はリアルタイムで検出・対応される。また、80%以上の検問所は24時間365日営業し、通関プロセスの効率化と滞りのない入出港を可能にする。このデジタル化された通関システムにより、菜鳥が連携している中国側のすべての港での通関を支援することが可能になり、安定性がさらに担保される。
24時間365日管理された保税倉庫で、在庫管理に関する負担を軽減
繁忙期でも安心して同社の物流サービスを利用できるよう、倉庫の閉鎖やスペース不足といった課題解決に取り組んでいる。ダブルイレブンの期間中は、倉庫を休まず稼働さることで、海外企業は在庫を事前に保税倉庫に預けると同時に継続的に補充することができ、在庫管理に関する負担を軽減することができる。
主要都市に設置された専門保税倉庫
韓国製コンタクトレンズ、日本製ウイスキー、ペットフードなどの人気のある海外輸入商品を管理するため、中国の主要都市に専門の保税倉庫を開設した。これにより、複雑な単品(SKU)管理を必要とする商品についてもスムーズな入出庫が可能となる。
ライブストリーミングによる販売促進
ツァイニャオは海外企業とライブストリーマーの連携を促進し、ツァイニャオの保税倉庫でのライブストリーミング販売を支援する。販売された商品は、リアルタイムに更新される物流の状況を確認しながら即座に出荷される。今年は同社の保税倉庫の80%以上が、中国250都市での戸口配送に対応しているとのこと。