フェデックスは、同社が委託して実施した最新のEC動向に関する調査結果を発表した。同調査ではアジア太平洋、中東およびアフリカ(以下、AMEA)地域でのECの継続的な進化と、EC事業者の成長につながる最新動向を把握することを目的に、2022年7月にAMEA地域の11市場で中小企業と生活者を対象に調査を実施した。
成熟しつつあるも、さらに成長の余地があるEC市場
インドや中国本土、日本、韓国のような世界最大のEC市場を抱えるアジア太平洋地域では、人口の57%がオンラインで物を買い、今年のECの収益は2兆900億米ドルに達することが見込まれている。
日本ではマーケットプレイスが主要な購入先であり、10人に7人がマーケットプレイスで買い物をし、ECの支出全体の91%を占め、3年前の80%から上昇した(AMEA地域では79%)。
日本を含むAMEA地域全体の傾向として、中小企業と消費者はともにECの利用に慣れ、新型コロナウィルス感染拡大でEC活用がより身近になり、今後もその傾向は続くと考えられる。同地域の中小企業10社のうち約7社は、ECが今後3年の間に自社のビジネスでさらに重要になると考えており、9社はそうしたEC活用に関する課題に対して十分な対策をとれていると回答している。さらに、生活者の80%は過去3年間の購買総額でECの割合が増えたと回答しており、71%はこの先さらに増えるとみている。
サービスのタッチポイントにおける、生活者からの期待値とのミスマッチ
オンデマンドで買い物をする生活者の増加により増えた配送量がEC事業者を圧迫するなか、カスタマーサービスの品質維持は非常に重要である。調査データでは、中小企業によるカスタマーエクスペリエンスの独自評価と生活者の評価にAMEA地域では10%ものギャップがあることが明らかに。一方、日本では同様の評価のギャップが3%と非常に小さいことが判明した。
AMEA地域の生活者の53%が、時間がかかり過ぎる配送が一番の不満であり、返品プロセスに関する不満が42%でそれに次いでいる。日本ではそれらの比率が比較的低く、配送時間がかかりすぎると回答した人は37%、返品プロセスの不満と回答した人は35%だった。
人材の定着および採用問題、日本の事業者への影響はもっとも低い
EC全体の将来の見通しは明るいものの、AMEA地域のEC事業者の65%は増加した受注の対応に苦慮していると回答。需要が急増するなか、人材とその採用は中小企業の難題となっている。世界的に大量の離職現象が起き、同地域もその影響を受けている。EC事業者の73%は過去12ヵ月で極めて高いレベルで大量離職を経験。日本、韓国、香港でも、人材の定着と採用は通常よりも大きな課題となっているが、喫緊の課題というわけではない様子がうかがえる。調査対象となった11市場のうち日本の中小企業は大量退職の影響がもっとも少ないということがわかった(46%)。
調査概要
- 調査期間:2022年7月
- 対象地域:オーストラリア、香港特別行政区、インド、日本、マレーシア、フィリピン、シンガポール、韓国、台湾、タイおよびベトナムの11市場
- 調査対象:ECに関わる従業員が250人未満の中小企業300社および各市場で18歳を超える消費者500人(インドは1,000人)
- 調査方法:オンライン
- 調査会社:Harris Interactive社