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ECzine Day 2024 Autumn

2024年8月27日(火)10:00~19:15

ネットショップを成功に導く 顧客単価の上げかた

お客様の役に立ちながら実現できる顧客単価向上 タイミングを見極め、クロスセルと信頼獲得の両立へ

 EC事業を軌道に乗せるには、地道な努力が必要。とは言え、どこに目をつけ、気を配れば良いのかわからない方も多いでしょう。EC業界歴15年、これまで1,000社以上の相談に乗ってきたスタックアンドスタック 大上さんが、EC売上アップに必要な着眼点として「顧客単価」にフォーカスした当連載。第4回は、「クロスセルで顧客単価を上げる方法」について解説します。

顧客単価を上げるために有効な手段「クロスセル」

 前回の記事では、リピート率を上げるには、初回のお客様が2回め購入をする割合(F2転換率)が非常に重要であることと、お客様に2回めの購入を促す方法についてお伝えしました。

 顧客単価を上げるには、このほかに「購入金額」に目を向ける方法も存在します。そこで今回は、お客様の1回あたりの購入金額を上げる方法について、詳しくお伝えしていきます。

 お客様の1回あたりの購入金額を上げるには、次のふたつの方法があります。

  1. より高単価の商品を販売する
  2. お客様の買い物1回あたりの商品購入点数を増やす

 「1. より高単価の商品を販売する」方法には、単価が高い商品を開発して販売するのみならず、「アップセル」と呼ばれるマーケティング手法が存在します。アップセルとは、同一ラインナップ内でより高い価格のモデルや品番の商品をお勧めする方法です。

 「2. お客様の買い物1回あたりの商品購入点数を増やす」方法には、「クロスセル」と呼ばれる手法があります。クロスセルとは、商品を検討しているお客様や既存のお客様に対して、関連する別商品をご提案したり、もともと見ていた商品と関連商品のセット購入を勧めたりするやりかたです。

 施策としてすぐに取り組みやすいのは、後者のクロスセルです。これまで1回の買い物あたり平均2点の商品を購入していたお客様に対してクロスセルのアプローチを行い、3点以上購入してもらうことができれば、購入金額は上がります。1人ひとりにこうした働きかけを行えば、トータルの売上もアップします。

 たとえば、アパレルの店舗やECサイトでジャケットの購入を決めた(カートに入れた)際に、「ジャケットに合うパンツはいかがでしょうか?」とお勧めされた経験がある方もいるのではないでしょうか。これがクロスセルです。クロスセルは、お客様がすでに購入を検討・決定している商品の関連商品を勧めるため、高額商品を勧めるアップセルと比べてお客様の抵抗感も少なく、顧客単価を上げやすい有効な方法と言えます。

 また、アップセル、クロスセル以外に「ダウンセル」という手法も存在します。これは文字どおりアップセルの逆で、同一ラインナップ内でより低い価格のモデルや品番の商品をお勧めする方法です。ダウンセルは、お客様が買おうか迷っている商品よりも低い価格帯の商品を紹介します。一見すると売上が減少するようにも見えますが、「価格が高いから購入を諦める」というお客様の動きを防ぐことが可能です。

 ダウンセルは、価格帯ごとの商品ラインナップが充実していて、すでにアップセルやクロスセルを行っている状態で行えば、お客様の数を増やす有効な手段のひとつとなり得ます。しかし、「顧客単価を上げる」という視点から見ると、顧客単価を下げる一因ともなり得るため諸刃の剣でもあります。そのため、まずはクロスセルを実施して顧客単価を上げ、その上でお客様層を広げるためにダウンセルを行っていくという流れで打ち手を考えていきましょう。

 ECサイトで行うクロスセルとしては、過去の閲覧・購入履歴に基づいて商品をレコメンドする、ある商品の販売ページに関連商品を表示するといった方法が存在します。購入後に「こちらの商品を購入した方は、併せてこちらの商品も購入しています」と表示したり、スタッフブログやライブコマースなどで商品レビューをする際に、関連商品を紹介したりするのも立派なクロスセルです。

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この記事の著者

株式会社スタックアンドスタック 代表取締役 大上達生(オオガミタツオ)

15年1,000社以上のECサイトやネットショップのコンサルティングや実務サポートを行ってきた、EC(イーコマース)の専門家。2年間で年商1億円に到達するための「7つの原則」をはじめとする独自のメソッドをベースに、年商億越えのショップをはじめ、年商3億円、昨年対比売上10倍のクライアントなど、多くの成功事例を持つ。ECサイトの事業計画から運営まで、豊富な現場の経験から「分かりやすく非常に実務的」との声が多い。「Webショッ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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