「全体構想」のレオニスと「業務運用」のトランスコスモスが提携した背景とは
――オムニチャネルサービス提供にあたり、提携先としてお互いを選んだ理由を教えてください。
宮澤 「トランスコスモスでは従来、コンタクトセンター、BPO、ECパッケージ開発・フルフィルメント・物流などのECワンストップサービスや、ネット広告、サイト構築・運用などのデジタルマーケティングなど、幅広いサービスをご提供してきました。ところが昨今、スマホを起点にお客様のモノの買いかたが変わってきました。そこで、従来のサービス領域にはなかった『店舗まわりのマーケティングの施策が打てるサービス』が必要になってきたのです。
自分たちでもシステム開発をしながら、同時並行でパートナーを探していたところ、レオニスさんに巡り会いました。レオニスさんの『OFFERs』というサービスがいちばん当社のやりたいことに合っていたことと、オムニチャネルのコンサルティング力から、今回の提携となりました」
伊藤 「レオニスとしては、『本当の意味でのオムニチャネルの支援体制』を作りたかったというのが理由です。オムニチャネルに取り組んでいると、『構想を描く』『システムを統合する』『業務を回していく』、この3つをすべての対象部署で実行する必要がある、とわかってきました。
ところが現状は、各部署と付き合いのあるベンダーがそれぞれ『オムニチャネル』と名のついたサービスを持ってきてバラバラに進行したり、オムニチャネル推進室があってもタスク管理、予算管理に追われていたりと、構想も意志もない、『オムニチャネルっぽい取り組み』が大半となっています。それでは我々ベンダーが儲かるだけで、お客様が求めるオムニチャネルは実現できません。
レオニスの場合は、オムニチャネルのキモになる『構想を描く』部分と一部のマーケティング領域の支援はできていた自負があるのですがそこまでが限界でした。お金をいただくからには本当にお客様にとって意味のある支援をしたいと考え、『システムを統合する』『業務を回していく』部分をサポートできるところを探していたところ、トランスコスモスさんとの出会いがありました。総合的なシステムとその業務を実行できる体制を持つトランスコスモスさんとなら本当の意味でのオムニチャネル推進支援ができると思い、意思決定しました」
――提携発表から、オムニチャネルサービスへの問い合わせは増えていますか?
宮澤 「既に多くの具体的なお話をいただいていて、まずは、スマートフォンのアプリを作るというところの案件が先行しています。お客様の購買行動で、スマホで見つけて、店舗に行ってショールーミングして、最後はPCで買うといった、チャネルを横断するユーザーの購入単価が高いというのも見えてきました。それを受けて、広告だけではない、CRMも含めたスマホ起点の施策が求められているわけです」
伊藤 「日本では2013年後半に、セブン&アイ・ホールディングスさん、イオンさんが言われたことがきっかけで、『オムニチャネル』という言葉がようやく一般的になったばかり。我々も最初から全てのシステムの統合を考えるのではなく、まずは現状を無視せず実際に取り組めること、短期的に成果が見える部分からサービスを提供していきます」