越境EC、何が売れるかは現地に行ってみないとわからない
――今、御社のクライアントの越境ECの進み具合はいかがですか?
「まず、『越境EC』についてですが、明確な定義はありませんよね。日本にいながら英語のECサイトを作って日本から海外に発送するところもあれば、実際に現地に行って法人を作り、デリバリーも現地の倉庫から行うところもあります。当社がご支援しているクライアントの多くは、後者に当てはまります。
当社のクライアントから、『海外で販売したい』という声が多く聞かれるようになったのは、2年ほど前からです。ご相談内容は、どこの国で何が売れるのか、物流や決済サービスはどうしたらいいのか、といったものです。
現地の調査レポートなども出ていますが、そうした客観的な分析が、必ずしもすべてのECサイトに当てはまるとは限りません。そこで私は、クライアントとともに現地視察に赴きます。実際に現地に行って、目で見て話を聞いて、扱っている商材と照らしあわせると、つかめるものがあるんです」
――現地に行くとどんなことがわかりますか?
「たとえば、日本のコンテンツは人気があると聞くから、キャラクターが描かれたiPhoneケースはどうだろうと販売してみると、意外に反応が悪かった。理由を調べてみると、コピー製品が安く売られているからでした。こういったことは、実際に現地でコピー製品が販売されている様子を見ると、しっくりくるのです。
ほかにも、日本のアパレル企業さんが台湾でも売りたいと考えたとします。日本に友好的だと言われますし、体型も似ているから商品がそのまま使えるかもしれないという発想ですね。ところが、商品が台湾に輸出できないといった問題が起きてくる。日本のアパレル製品はメイドインチャイナのものが多いですが、台湾で中国製品に輸入規制がかかっている、といったことがわかります。
また、いわゆる日本的なものが売れるのではないかと期待される方もいますが、どんな物でも売れるわけではなく、商品により、また国により大きく異なります。ある方から聞いた話ですが、海外から三重県のあるお店に『神棚が欲しい』というオーダーがあたったそうです。柔道の愛好家が道場に神棚が飾ってあるのを見て自宅にも飾りたいと思ったとか。なかなか応用が効きにくい例ですよね」