目的なきデータ統合はNG 求めるアウトプットから設計しよう
デジタル活用が世の中全体に広がり、膨大な量のデータ取得が可能になっても、企業がそれらをどうマーケティングに活用するかの最適解を見出せていないケースは非常に多い。DXを推進する際のプロセスとして、山崎さんは「目的もないまま、手元にあるデータを統合するところから始めてはいけない」と警鐘を鳴らす。持っているデータを整理しないことには何も始まらない、と考える人も多そうだが、この発言にはどのような意図があるのだろうか。
「運用プロセスとしては、一元化したデータを基に分析・可視化して、得た結果を基に施策を実施し、効果測定するという流れが正しいため、つい同様の手順でデータ統合から進めてしまいがちですが、ここには落とし穴があります。いざ施策の検討・実施をしようとした際にデータが足りない、あるいは施策の実施を行った後に上がったデータから何が得られるのかわからない、といったようなことが起きてしまう可能性があるのです」
こうした失敗を未然に防ぐためにも、設計は運用フローと逆の手順で考えることを勧めたいと山崎さんは語る。効果測定時にどのような結果を得たいのか、その結果を得るためにはどのような施策を実施することが有効か、施策検討に最低限必要なデータは何か、既存データで活用できるものがあるかどうか、ない場合はどのように収集すべきか̶̶理想とするアウトプットから逆算して環境整備を行うことでデータの過不足もなくなる。
「そもそも、データがない状況でやりたいことを実現するのは不可能です。あるもので何ができるかではなく、目的を定め、追い求める理想図に足りないものを補う考えかたが適切と言えます」