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季刊ECzine vol.12定点観測

キャッシュレスの利便性に付加価値を 活用次第で相乗効果も

 EC事業者がおさえておきたい、13のテクノロジー関連トピックスの「定点観測」。PAYの高野さんに、決済について聞きました。※本記事は、2020年3月25日刊行の『季刊ECzine vol.12』に掲載したものです。

ヤフーとLINEの経営統合発表 決済以上の価値提供が今後の課題に

 決済に関するトピックで2019年末に世間を大きく賑わせたのは、間違いなくヤフーとLINEの経営統合発表と言えるだろう。11月18日に資本提携に関する基本合意書を締結、12月23日に最終合意の旨を発表している。ともにスマートフォン決済サービスを提供する企業ということもあり、経営統合によるそれぞれのサービスの行方も気になるところだが、高野さんはどう見ているのだろうか。

「あくまで予想に過ぎませんが、PayPayとLINE Payがすぐにひとつのサービスに統合されるということは、考えにくいでしょう。それぞれ異なるサービス展開を行っていますし、まだどちらのアプリも認知拡大と継続利用促進のフェーズであると言えます。対クレジットカードや電子マネー向けの取り組みを行うにあたり結託し、互いに決済ネットワークを広げていった後にサービス統合するイメージなのではないでしょうか」

 PayPayの利用者数は2019年11月17日に2,000万人を突破、LINE Payの国内登録ユーザー数は2019年10月末時点で3,690万人を記録している。単純に双方のユーザー数を足し合わせると5,690万人、重複するユーザーを差し引いても、群を抜いて国内最大手のスマートフォン決済プラットフォームとなることは間違いない。しかし、スマートフォン決済自体が決済手段としてはまだ普及段階にあると言え、課題点も多く見られる。

「キャッシュレス消費者還元事業のおかげもあり、一定の割合で普及が進んではいるものの、利用率としてはいまだクレジットカードや電子マネーのほうが高く、スマートフォン決済の存在をまったく意識せず生活している人も多くいる状況であることは否めません。ポイントが貯まるからキャッシュレス決済を利用しているという人も多く、還元事業が終わる2020年6月以降も継続して使ってもらうための工夫は各社必要でしょう。施策としてシンプルなのは、還元施策を各社独自で継続して行うことですが、体力も必要ですし、それだけでは企業としての持続性がありません。スマートフォン決済は、アプリやプラットフォームを有している点が交通系ICカードや電子マネーなど、ほかの決済手段と比べた際の強みであると言えます。これらの決済手段を継続利用することで、たとえば決済履歴を信用データとして活用したり、副次的にほかのサービスでメリットを享受できたりするなど、今後は決済以上の価値提供が求められていくのではないでしょうか」

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決済手段を選定する決め手は シナジーを生み出せるかどうか

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