Macy’sやインドネシアに見る 配送手段多様化の流れ
2019年末のホリデーシーズン、アメリカの大手百貨店「Macy’s」の取り組みが注目を集めた。11月下旬の「サイバーファイブ」と呼ばれるサンクスギビングデーからサイバーマンデーまでの期間に、配送を遅らせることを了承する選択肢「No Hurry」を選んだ消費者に対し、特典を提供したと言う。
「Macy’sは通常3~6日以内に配送を行うのですが、これを6~9日以内に遅らせるNo Hurryを選んだ消費者へ、12月の決められた期間にオンラインや店舗で使用できる10ドルのギフトカードを進呈しました。この取り組みは、倉庫や配送業者の負担を緩和することに貢献したと言えます」
Macy’sは、No Hurryのような還元施策以外にも、1~2日以内の配送には15ドル(Express)、2~3日以内は10ドル(Premium)を徴収するなど、配送までのリードタイムによって消費者の価格負担を柔軟に変えている。
「商品を早く受け取りたい消費者に対しては、そのぶん発生する作業の費用負担をしてもらう。購入したいものはあるけれど、早く受け取ることを重視していない消費者には、待っていただく代わりに特典という形でメリットを提供する。こうした配送オプションは、物流のピークタイムを分散させる試みとしては大変興味深い取り組みです」
また、オープンロジがEC物流の実証実験を行ったインドネシアでも、配送手段や配送業者のバリエーションを多く揃えることで店舗の差別化を行い、消費者へ利便性提供を行うケースが一般的となりつつある。
「例えば、いち早く商品を受け取りたい消費者は、自ら費用を負担してGO-JEK(バイク便)での配送を選択する。着日に寛容な消費者は、配送費用が安価な業者や馴染みの配達員がいる業者を選択します。店舗側のオペレーション負荷はかかりますが、自身が望む配送手段を選択できないことが離脱要因になるほど、海外では自身の希望に応じた配送プラン選択が一般的になりつつあります。配送業者との契約やオペレーション整備などの課題点はありますが、日本もこうした海外の事例をもとに、顧客ごとの要望に応じたプラン提供を検討しても良いのではないでしょうか」