Web Summit初協賛!英語で5つの講演をやり遂げたZETA・山崎さんにインタビュー
――今回のワークショップのテーマを「CX Growth Hacking」にした理由とは?
山崎(ZETA) 講演する以上、私たちが他より秀でているものをテーマに設定しようと考えました。ZETAでは数年に渡り、「ZETA CX シリーズ」を提供してきた実績があります。そのなかでも、根幹となるサービスである「Search」と、最近のホットトピックスである「Review」をメインテーマに、1日ふたつ、2日間に合計4つのワークショプを行いました。ワークショップである以上、話を聞くだけでなくディスカッションできたほうが有意義なものになると考え、Q&Aにも時間を割きました。
――EUからの参加者が多いと思いますが、聴講者のレベル感はいかがですか? 日本のリテール業界の方と比較して教えてください。
山崎(ZETA) 海外カンファレンスは、開催日から数えて早い日に参加される方のほうが熱心だという感覚を持っています。今回、1日目のワークショップにお越しいただいた方々が非常に熱心だと感じました。日本のリテール業界の方で、真剣に情報収集されている方々と同じような質問をしていただけたと思います。
とくに「Review」に関しては、「レビューを集める重要性はわかるけれど、ネガティブレビューがついたらどうするの?」という、実際にレビューについて深く考えた経験がないと出てこないような質問をいただき、私もやりがいを覚えました。SAP Hybrisとの連携についての質問が出たのも、EUらしいところかもしれませんね。
GDPR関連の質問もあり、プライバシー等に関してはやはり先進的ですが、OMOについてはご存じない方が多く、日本も負けていないと感じました。総じて、私たちがやってきたことは間違っていなかったし、私たちが提供する情報もEUをはじめ海外の方のお役に立つことができるんだなと実感しました。
――5つのパビリオンを使った巨大なイベントのうち、コマースを含むデジタルマーケティングジャンルは、そのうちひとつのパビリオンと「Panda conf」というステージで開催されていました。ステージは大きかったですが、「Auto/Tech」(ex.self driving car)や「Creatiff」(ex.design)と比べると落ち着いていた印象を受けます。スタートアップ支援でも知られるイベントですが、コマース関連はあまりパッとしない印象もありました。
山崎(ZETA) 7万人も参加する巨大なイベントですから、センターステージのラインナップを見るとわかるように、必ずしもギーク向けではないですし、お祭り感も出す必要があるのだと思います。スタートアップに関しては、そうそうユニコーン企業が出てくるものでもないですから、1社でもおもしろいものがあれば当たりくらいのつもりでいるのがいいのではないでしょうか。
欧米では、コマースの中でもEC分野に特化したイベントはそれほど大きく盛り上がってはいない印象です。理由としては、実店舗と対等な関係になっていてひとつのチャネルとして成立していること。日本で言われる、縦割り組織の対立のような課題にはそれほどお目にかかりません。とくにEUに関しては、アメリカや日本と比較するとまだ、Amazonへの脅威がそれほど感じられないこともあるかもしれません。ほのぼのしている、と言いますか。
――デジタルマーケティング関連では、リブランディングとAIがテーマのセッションがいくつかありました。
山崎(ZETA) 大量生産、大量消費が終わり、パーソナライズの時代です。リブランディングでその印象をつける必要があるからでしょう。AIに関しては、大抵がマシンラーニングの話に留まっていましたよね。
――忙しいEC事業者に、海外カンファレンス参加へのアドバイスをお願いします。
山崎(ZETA) Web Summit規模になると、3日間で何百というセッションがあります。事前に予習し、いつどれに参加するか決めておくと効率的でしょう。参加しておわかりのように、セッションが始まってすぐ席を立つ聴講者も多いですよね。日本人は気を遣ってそのまま留まりがちですが、時間を無駄にしないためにも、少し聞いて「違うな」と思ったら別のセッションに行ったほうがいいでしょうね。
ミニハックをひとつ紹介すると、パネル形式よりはひとりのスピーカーがプレゼンする形のほうが情報量が多くオススメです。昨年はじめて参加した際には、私が話を聞き、部下にすべてのスライドを撮影してもらうということを繰り返していました。難易度は高いですが、本人が真剣になればなるほど、得られるものは大きいと思います。
――ワークショップの聴講者からも質問が出ていましたが、これを機に、グローバル展開する気はないのですか?
山崎(ZETA) 良いパートナーが見つかり、代理販売を行ってくれるというなら歓迎です。自分たちで、マーケティングやセールスをする気はありません。なぜなら、東京の企業様からのご要望にもまだ十分お応えできていない状況ですし、今後ますます伸びていくであろうOMOソリューションの日本での展開に非常にワクワクしているからです。
――山崎さんの英語のプレゼンと、立ち見も出る人気ぶりだったこと、そして聴講者の方の熱心さに編集部も勇気づけられました。ありがとうございました!