メイクショップが令和時代の新ECシステム「Axコマース」リリース
――次世代コマース事業責任者としてGMOメイクショップにジョインされたということで、そこに至るまでの経緯をお聞かせください。
私のキャリアを申し上げますと、新卒でERP導入などを行うSIerに入社した後、アメリカ支社に転勤できるという理由で、サーバホスティング会社に転職しました。実際にアメリカに行ってみたら、たったひとりの上司が「日本に戻る」と言い出したので、私ひとりでアメリカ支社を担当することになったのですが(笑)。1年間アメリカで勤めた後に帰国し、起業する道を選びました。
検索エンジンの開発に携わったことからECビジネスとの接点が始まり、自ら手がけたサイト内検索とレコメンドエンジンは200を超えるECサイトに導入いただいた実績があります。それらのサービスを売却し、次は何をやろうかなと考えていたところ、GMOメイクショップの代表である向畑から声がかかりました。
向畑から受けた相談は「次世代コマース構想を一緒に考えてほしい」というものでした。MakeShopはカートASP業界において年間総流通額ナンバーワンの地位を誇りますが、「このまま、従来のやりかただけを続けていくつもりはない」との考えでした。従来のMakeShopのお客様とは別のレイヤー、オムニチャネルなどを前提とした大規模事業者に向けたサービスを展開することは決まっていました。声がかかった2018年6月から4ヵ月間はブレストを行っており、実際に「Axコマース」の開発を始めたのは10月からです。次世代コマースシステムということで、新元号に変わる2019年5月にリリースしたいとこだわりました。
――「Axコマース」について詳しく聴かせてください。
「Axコマース」にはふたつの趣旨があります。ひとつめは「プラットフォーム構想」です。当社では2018年、ECの運営代行を行う「フルアウトソーシング事業」を発表しましたが、外部パートナーとの連携も含め、コンサルティング、ブランディング、集客支援、サイト制作、越境EC支援など、ECシステムだけでなく、ワンストップでお客様のEC運営を支える体制を整えています。
もうひとつは「統合コマースソリューション」であるということです。根幹となるECシステムのほか、CRM(顧客管理)、CMS(コンテンツ管理)、BI(ビジネス・インテリジェンス)、MA(マーケティング・オートメーション)といった、現代のECの必須機能を当初から備えています。
――このタイミングだからこそのシステムと言えますね。
次世代コマース構想のブレストを行う際に、制限を設けることなく、「本来、コマースシステムとはこうあるべきだ」というところから議論を始めました。EC業務に必要な機能が当初から揃っているのはもちろんのこと、変化し続けるトレンドに対応するために、フロントの改修や機能追加はスピード感を持って柔軟に行えなくてはならない。
そこで、日本のECシステムとしては画期的な、クラウドネイティブ環境で、フロント、API(カスタム層)、管理機能の3階層(3Tier)に分ける仕組みにしました。ECサイトのフロント部分の改修を行ったり、他のサービスとAPIで接続したりといったことを行う際に、管理機能など他のTierに影響を与えることなく、容易に開発を行えます。
この仕組みをご評価いただき、サービス提供前ですが、すでにあるアパレル企業様にご採用いただき、サイト構築を進めています。