「効率×効果=生産性」の効果を高めるフェーズに入ったら
あなたはグリーンホールディングスの店舗営業ラインからいきなりのEC事業部長異動後、『季刊ECzine』vol.05、06を参考に優先順位に従って、シングルタスクで1つひとつ集中し改善を図っていきました。大幅に業務効率と在庫効率が改善されたことにより、コストが予定以上のペースで削減できました。また、納期を早め、店舗で販売している商品のECへの掲載が充実することにより、顧客満足度が高まりリピート率が大幅に向上しました。
しかしながら、大目標の3年で売上げ3倍として黒字化を達成するためには、新規顧客獲得が必要です。「効率×効果=生産性」のかけ算における効果を高めるフェーズに入りました。
まず、ウェブ販促などでの集客前に、現在の3倍の売上になった時の運用・システムキャパシティ等を考慮してシステム改善を考えます。それらが必要十分な場合はウェブデザインの改善から取り組みます。
システム改善のポイント
1.システムを理解する
事業責任者として専門用語の理解は必須です。IT部門と共通言語で会話できる必要があるからです。稟議時などに経営陣から説明を求められることも多々ありますので、専門用語をかみ砕いて説明できるようになっておくことが望ましいです。
可能ならばひとつの言語でよいので、プログラミングをやってみることをオススメします。条件分岐、フラグの使いかた、データフィールドの持ちかたなどが理解できていると、IT担当任せではない顧客目線での課題解決方法のアイデアを持つことができます。IT部門のスタッフは技術仕様に詳しくても、事業における顧客理解が弱いので、事業部門の人間にIT理解があることが重要です。
2.優先順位をつける
システム改善の基本的な考えかたとして、すべてを良くしようとするのではなく、事業全体の業務フローにおけるボトルネックを解消することが基本です(vol.05参照)。今回は売上を3倍にした場合に、どこが新たなボトルネックになるかも考慮して改修の優先順位と投資額を決定することになります。
3.改修かリプレースかを検討する
改修ではなく、システムの一部リプレースが必要なケースもあります。改修で凌ぐかリプレースするかの判断基準は「片足現在、片足未来」で思考し、将来容易に変えられないことは早めに変更、後で変更可能な物はあまりいじらないことです。
ベンダー変更レベルのシステムリプレースを行う場合、各システムとの連結およびテストが想定外に大きな費用になることが多いです。また、不具合も起きやすいので、事業責任者として、影響範囲は網羅的に把握しておきましょう。
4.投資予算を考える
進化の激しいEC事業においては、システムは常に改善が必要です。一度のシステム改善で全部やろうとせずに、中期で按分することによって時流に合った改修をすることができ、都度稟議を取りに行く手間を省けます。