いまや大盛況のリユース市場も、ひと筋縄ではいかない
マーケットプレイスでタッグを組んだZOZOUSEDとコメ兵
2018年3月1日から、ファッション通販サイト「ZOZOTOWN」内ののブランド古着のファッションモール「ZOZOUSED」にマーケットプレイスが誕生した。サービスローンチ時に出店したのは、コメ兵が運営する「KOMEHYO」とゲオが運営する「セカンドストリート」の2店舗である。
メルカリをはじめとするさまざまなネットサービスにより、ファッションにリユースアイテムを取り入れることはすっかり当たり前となった。さらには、売ることを前提に新品の購入を検討するユーザーも出てきている(参考:「フリマアプリ利用者と非利用者の消費行動」に関する意識調査 | 株式会社メルカリ)。こうした消費者の行動の変化は、販売する企業側にも変化を求める。
長年リユースに携わってきたZOZOUSEDを運営するクラウンジュエル代表の宮澤高浩さんとコメ兵の執行役員である藤原義昭さんのふたりに、マーケットプレイスでの連携の理由やリユースビジネスの今後、そして消費者の行動の変化といったテーマについて対談してもらった。
――まずは、ZOZOUSEDマーケットプレイス化の理由について、お聞かせください。
宮澤(クラウンジュエル) ここ数年、ZOZOUSEDは非常に好調で順調に拡大してきました。お客様のニーズに応えるべく、さまざまなカテゴリの商品を確保することは、常に課題に感じています。その課題にスピード感を持って対応するには、マーケットプレイス化したほうがいいのではと考えたのがきっかけです。
コメ兵さんは、私たちだけでは十分に商品が確保できていないジャンルである「ラグジュアリー」分野の代表企業でいらっしゃること、ゲオさんはリアル店舗を数多く持っていらっしゃるというのが、2社さんにお声がけした理由です。
――その2社はパッと思い浮かんだんですか?
宮澤(クラウンジュエル) すぐに思い浮かびましたね。藤原さんのことしか頭にありませんでした。すぐに会いに行きました(笑)。
――以前からご面識が?
藤原(コメ兵) まだ社長になられる前のことでしたが、私が宮澤さんと話がしたくて、「コメ兵の藤原っていうんですけど……」と飛び込みで訪問したことがあります(笑)。ファンなんですよ、こういう男になりたいなって。
宮澤(クラウンジュエル) (笑) 最初にお会いしたのは、7、8年ぐらい前でしたね。
藤原(コメ兵) 以前は、「中古が売れると、新品が売れなくなる」という考えかたがあり、ブランドとリユース事業者の関係は、それほど良いものではなかったんです。宮澤さんはすごく苦労され、戦ってこられた。私が宮澤さんのファンだというのは、そういう理由です。スタートトゥデイグループにクラウンジュエルが入ることになったときには、スタートトゥデイ視点では「すごい決断をしたな」と、クラウンジュエル視点では「よく突破したな」という印象を持ちました。
今や、リユースはかなり認知されてきています。企業側は「中古」「新品」と分類したがりますが、ユーザーから見たらそういった分類は意味がなくなっている。「中古が売れると、新品が売れなくなる」というのはもはや間違いで、リユースで人気があるものは新品も売れるという状況になってきている。
「中古」「新品」と分けるのではなく、ひとつに括って考える。消費者のニーズに応えるにはそこが重要だと思っていて、ZOZOUSEDはじめZOZOTOWNは、この古い分類を一生懸命越えようとしているので、すごくリスペクトしています。上から目線に聞こえてはいけませんが、本当によくやっていらっしゃる。
宮澤(クラウンジュエル) わかってくれる人がここにいるんだ、と涙が出そうです(笑)
――リユース事業を営む企業さんには、そういったご苦労があるんですね。
藤原(コメ兵) ブランドの世界観を崩さないことは、リユース事業を営むうえで重要だと思います。崩してしまうと、結果的にリユース品も売れなくなってしまうので。ブランドをリスペクトしながら、きれいに売っていく。私たちは、そこにすごく気を遣っています。
具体的にリスペクトをどう表現するかというと、販売の場であるお店をきちんとつくるとか、マーケットプレイスに出るのであれば場を選ぶといったことです。「売れるから」という理由だけでは選択しません。
――コメ兵さんが、ZOZOUSEDマーケットプレイスへの出店するのは、「幅広い年代のユーザーが利用している」点を魅力に感じたとのことでした。
藤原(コメ兵) 当社のメイン顧客は、40代前半~50代後半のラグジュアリーブランドがお好きな方たちです。課題のひとつに、ミレニアル世代のユーザーが獲得できていないというのがあります。しかし、ミレニアル世代が好むアイテムの在庫は持っているので、そういったユーザーがいる場でアプローチできれば、ニーズに応えられるだろうと考えました。
そして、スタートトゥデイグループはお金儲けだけのために洋服を売っていない、「洋服が好きだ」という思いが感じられます。先ほど述べた、ブランドへのリスペクトを表現する場として、共感できると感じました。