ネットで売れるヒットの仕掛けをアスクル、カルビー、マルイに聞く
――本日モデレーターをつとめるECzine編集長の倭田です。「ヒット商品を編み出すためのデータとチーム」をテーマに、お話をおうかがいしていきたいと思います。それでは自己紹介からお願いします。
大塚(カルビー) カルビーの大塚です。 Eコマース課という部署で、主にEC企業への営業と、自社ECサイト運営を行っています。本日は、ここ数年で急成長した「フルグラ」についてお話をさせていただきます。
木村(マルイ) マルイの木村です。今回お話させていただく「ラクチンきれいシューズ」のマーケティング・商品戦略に3年ほど前から携わっています。また今年度から、オムニチャネル事業本部スタートにともない、店舗とウェブを活用した戦略企画にも取り組んでいます。
成松(アスクル) アスクルの成松です。現在、メーカー様と一緒にECで価値を作っていくことを目的とした「ECマーケティングラボ」の所長と、デジタルマーケティングの統括をしております。本日は、立ち上げ時から参画している、LOHACOのヒット商品についてお話しさせていただきます。
――まずは各社さん、ヒット商品をどのよう仕掛けられたのか、ご紹介いただけますでしょうか。
大塚(カルビー) フルグラは1988年に販売を開始し、2016年に25周年を迎えました。数年前まで30億円程度の売上で頭打ちの状態でしたが、2011年にブランド名を「フルーツグラノーラ」から「フルグラ」に変更し、2012年から売上100億円を目指すチャンジに取り組みました。商品改良はせず、テレビCMなどの派手な広告展開も行いませんでしたが、ここ数年で急成長を遂げた商品となりました。
チャレンジ開始当時、シリアル市場は下降傾向で、シリアル・フルグラ未経験者は77%もいました。未経験者に届けるためには、カテゴリ自体のイメージを刷新することが必要と考え、従来型のアプローチではない新しいマーケティングモデルを構築することにしました。
具体的には、ニュースや報道で戦略PRを行って、売れる環境づくりをしてからブランドを認知してもらい、商品トライアルしてもらうという流れです。ニュースなどで話題になると、バイヤーさんが興味を持って棚に並べていただけるようになったのが非常に効果的でした。
また、ヨーグルトなどとの相性をアピールする「オトモダチ作戦」や、「増殖!グラノーラ族」というテーマでPRを行うなど、従来のシリアル市場内のシェア争いではなく、新たなフルグラ市場の創出というイメージを具現化させていったのが、成功につながったと思います。
――メーカーさんというとBtoCのイメージですが、小売さんが売りたくなるようなBtoBマーケティングも大事なんですね。