多商品はWebの強み。ただ多すぎても顧客を迷わせる
「ロングテール」という概念が登場してから10年以上。物理的な制限のある店舗とは異なり、無限に商品を展示できるのは、今なおECの大きなアドバンテージだ。林氏は、このロングテールは「EC業界でもまだメジャーな考え方」であると指摘しつつも、ただ単に品目を増やせばいいのかは難しいところだという。
「選択肢が多いことは、本当に欲しいもの、いいものが探しにくいという意味で、顧客にとって必ずしも良いこととはいえません。商品をなかなか探し出せずに結局離脱してしまうのでは、事業者側にとってもマイナスとなります」
林氏は、そのような事態の解決策として、顧客それぞれに合った情報を適切なタイミングと量で提供することが肝要であるとし、その実現に寄与するのが「One to Oneマーケティング」であると語った。
それぞれの顧客に最適な情報を。One to One マーケティングに必要な3つのデータ
顧客1人ひとりに最適な情報を届けるOne to One マーケティングでは、そのための分析に膨大なデータが必要となる。ブレインパッド社ではこれを、オフラインデータ、オンラインデータ、外部データの3つに大別しているという。
オフラインデータは、顧客リスト、商品情報、購買履歴、クーポン、ポイントなどの情報。オンラインデータは、アクセスログ、Webスコア、GPS情報などWebを通して取得できるもの。外部データとしては、パブリックDMP、ソーシャルネットワーク、天候などの統計情報がこれにあたる。
実際同社ではこの3つのデータと、見込み、新規、通常、優良、休眠などに分類された顧客セグメントを組み合わせたマトリックスを作成。カート放棄や店舗来店などのアクションが発生するごとにセグメントを柔軟に移動させるという、細かな分析を行っているという。
「これらのデータをすべて管理し、顧客1人ひとりに合わせて最適化を行っていくことがOne to Oneマーケティングだと考えています」
「機械学習」は顧客に何をもたらすのか
データ活用面でマーケティング界隈を賑わせているキーワードに、AIの存在がある。中でも、EC分野に特に影響をもたらすものとして、林氏は「機械学習による予測モデル」を挙げ、同社で取り組んでいる活動について語った。
「機械学習による予測とは、データベースから予測モデルを構築することです。データサイエンティストや分析ツールが解析した数式に値をあてはめると、その商品がどれだけ売れるか、どういった顧客が購入するかといった予測が弾き出されます」
このうち、「この商品は誰が買うのか」という予測は「オファーセントリック(商品中心)」、「顧客が望む商品」の予測は「カスタマーセントリック(顧客中心)」として切り分けられるという。
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