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ECzine Day 2024 Autumn

2024年8月27日(火)10:00~19:15

逸見さんが今日も行く!オムニチャネル対談

[対談]良品計画川名さん×キタムラ逸見さん 企業理念なきオムニチャネルは成功しない


 キタムラの逸見さんが、企業のオムニチャネル推進者と対談するコーナー。第2回は、良品計画・川名常海さんが登場。前編は、川名さんと逸見さんが語る、良品計画の理念「人間の論理」に迫ります。

ECから始まった「WEB事業部」今のミッションとは

逸見(キタムラ) さっそくですが、川名さんが管轄していらっしゃる「WEB事業部」の仕事って、最近、変わってきていませんか?

川名(良品計画) 変わってきています。WEB事業部という名前も、合わなくなってきているんじゃないかと感じています。そもそもWEB事業部という名前は、Eコマースの「無印良品ネットストア」を主なベースとして作られたものなんです。それが今では、アプリ「MUJI passport」を中心とした店舗会員の売上構成比が44%にも上っています。この方たちを、適切なマーケティングコミュニケーションによって活性化させていくことが、僕らの目下の課題になっています。

そもそも無印良品全体の売上を見ると、90%以上を店舗が占めています。無印良品の店舗へ行くと、無印良品の世界観の中で、商品、環境、情報が統合され、無印良品のライフスタイルが提案されています。この顧客体験があるから、Eコマースでの購入にもつながっているんですね。このデジタルの時代において、無印良品をいかに知ってもらうか。無印良品への理解を深めてもらって、さらに店舗に行く機会を増やしてもらえるか。これが僕らWEB事業部のミッションなんです。

逸見 MUJI passportは、ユーザーのメリットはもちろん、店舗にとっては集客の効果もあると思います。さらにもうひとつ、アプリから収集できるデータによって、経営陣にECやWebの施策がどう成果に結びついているのか、理解してもらうための材料としても有効なんじゃないでしょうか。

川名 おっしゃるとおりです。明確に数字がとれるようになってよかったと思っていますし、そもそも、それがMUJI passportでやりたかったことでもあります。以前も会員向けに、無印良品メンバーなら10%OFFになる「無印良品週間」のイベントの告知を送ったり、レジのPOS端末に表示したりはしていたので、その延長線上にある施策ではあるのですが。

逸見 クーポン情報などをレジで提示するだけのアプリは他にもありますが、MUJI passportがすごいのは、それぞれバーコードがレジで読み取れるので、アプリを見て来ているお客様なのかどうか、店員さんもわかるし、データとしても取得できることですよね。

さらに、アプリに「新横浜のお店には在庫がある」と誘導されて行ってみると、「形態安定オーガニックコットンシャツ」がきちんと、L・M・Sと棚に積んである。このオペレーションができているから、アプリでお客様を誘導した結果、がっかりさせずに、機会ロスを防ぐことができている。御社には、店舗用の「MUJIGRAM(ムジグラム)」というマニュアルがあると聞いていますが、そこにアプリへの対応も組み込まれているから、このオペレーションが回せるんでしょう。

川名 「UX(ユーザーエクスペリエンス)」を大きな意味でとらえると、そこまでやるべきだと考えています。経営陣にもそれは理解してもらっているので、WEB事業部という名前もそろそろ変わっていくんじゃないかと思います。

逸見 アプリから店舗までのUXを追究していることで、お客様との接点も、どんどん深まっているのでしょうね。

川名 「無印良品週間」は月曜日に告知し、その週の金曜日に始まります。これまでの傾向では、告知から無印良品週間が始まるまでの間、一時的に売上が落ち、金曜日になるとECサイトの売上が一気に伸びるというものでした。それが最近では、リアル店舗もECでも、同じような動きになっている。「リアル店舗もダイレクトマーケティング化している」と言えると思います。

逸見 リアル店舗で購入するお客様も、デジタルから配信される情報を見ているということですよね。One to Oneのマーケティングにより、リアル店舗でさえもダイレクトマーケティングのような動きが起きていく。これは小売業界全体で、もっと理解を深めていく必要がありますね。

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この記事の著者

フロッグデザイン株式会社 代表取締役 丸山彰護(マルヤマ ショウゴ)

コンピューター系からデザイン全般にわたる数々の出版物の制作と執筆を行う。EC関連の事業として店舗の運営を行いながら市場のチェックは欠かさない。最近では、コンテンツマーケティングやマーケティングツールなどの施策に興味を持っている。●連絡先:東京都町田市玉川学園2-12-36 ●電話:042-732-3571 ● E-MAIL:info@frogdesign.jp ●会社HP:https://frogdesign.jp

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

オムニチャネルコンサルタント 逸見光次郎(ヘンミコウジロウ)

1970年東京生まれ。1994年三省堂書店入社。1999年ソフトバンク入社。イー・ショッピング・ブックス社(現 セブンネットショッピング社)立ち上げに参画。2006年アマゾンジャパン入社。ブックスマーチャンダイザー。2007年イオン入社。ネットスーパー事業の立ち上げと、イオングループのネット戦略構築...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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