KARTE1周年、新機能「TALK」でコミュニケーションを再定義
――まずは、KARTE1周年おめでとうございます。まだ1年なのにびっくりです。
よく言われます(笑)。実際、構想を揉み始めたのは3年ほど前で、1年後にプロトタイプを作ってリリースし、その1年後に今のサービスをリリースしてとやってきたので、実質、3年くらいやっているのですが。
KARTEのコアは「人を徹底的に可視化する」にあり、それは、あるようでなかったプロダクトです。今は、「お客様を可視化しないと、本当にいい接客はできない」に共感してくださるクライアントと、一緒に使いかたを模索しているところです。
この考えが浸透するまで、もっと時間がかかるだろう、2015年はウォーミングアップの年かなと思っていたんです。ところが、いろいろなツールベンダーさんがそれぞれの「ウェブ接客」の定義でツールを出され、市場としては一気に拡大したと感じています。
1周年を記念して、KARTEの実績をインフォグラフィックでリリースしました。導入社数845社と数を伸ばせたのはもちろん、その中の人、実際にKARTEを毎日運用している方の人数が、1,846人もいらっしゃるのを改めて確認し、プロダクトとしての責任が重くなってきたと受けとめています。数字が大きくなってきたというところでは、累計での解析ユニークユーザー数が4億くらい、解析売上金額だと月間150億円、接客回数では月間2,000万回に上っています。
特徴的なのは、接客の有無による購入率の変化(下図)です。横軸がお客様のロイヤリティの高さを示しているのですが、ロイヤリティの高低問わず、KARTEで接客を受けると、コンバージョンレートが30%上がるということがわかったんです。さらに、接客を受けることによってサイトへの訪問回数も上がるというデータもあります。このあたりは引き続き、おもしろいデータがまとまり次第、公表していきたいと考えています。
――接客すると、サイトの訪問回数も増えるというのはおもしろいですね。そして、新しい機能「KARTE TALK」も出ました。かなり革新的で、「ウェブ接客って、ポップアップが出るサービスでしょ?」という思い込みが覆されたと思うのですが。
KARTE TALKの構想自体は、1年前にKARTEをリリースしたときからありましたし、クライアントからも、ポップアップだけでなく、チャットやメールに対応してほしいという要望もいただいていました。そうした一部の機能に都度対応することは可能でしたが、それよりも一歩引いた目で、『事業者と消費者のコミュニケーション』を変えていくことができないかと考え、KARTE TALKという大きな打ち出しかたにしたんです。
KARTE TALKでは、お客様とのコミュニケーション手段に、チャット、SMS、メール、Facebook通知、ブラウザ通知、スマホ通知を追加しています。サイトを訪れた際に、データをリアルタイムに解析するのは変わりませんが、ポップアップに限らず、お客様にとって最適なコミュニケーション手段(パーミッションをとったもの)で接客できるようになっています。そうした接客履歴は顧客軸で管理し、どの手段でどのように接客したから蓄積され、次回以降もそれを見て対応することができます。
これまで、事業者から消費者へのコミュニケーションは、メールでカタログのような情報を一斉配信するというものでしたが、それは事業者側の都合であり、技術的に難しかったからでもありました。KARTE TALKでは、コミュニケーション手段が増えたほか、そもそも顧客を見える化しています。それが見えてしまうと、とてもメールの一斉配信のようなコミュニケーションはできなくなってくると思います。
KARTE TALKに対する、クライアントからの反応は非常にいいです。1つひとつの手段だけを見ると、どう使おうか悩むものもあると思いますが、まずは必要なものだけ使っていただければいいと思います。それらをすべて統合することで、今一度お客様とのコミュニケーションのありかたをKARTEとして定義したいんです。
僕の前職である楽天市場では、スタートした時から「ECは究極の対面販売だ」と言われてきたと思いますが、ようやくそれが実現できるようになってきた。お客様にもより有益なサービスが提供されますし、消費者からも売り手がよく見えるようになる。より豊かな体験が生まれていくと思います。