いま改めて、どんな人のどんな課題を解決できるのか
ぼくがEC、ネットショップにかかわるようになったのは2003年ですから、もうかれこれ12年前になります。
当時はAmazonも本やCDがメインで、家電ストアがちょうどオープンした頃です。ぼくはAmazonに対抗するために立ちあげられた、ビーケーワンというオンライン書店にアルバイトで入ったのですが、アルバイトという当事者意識が微妙に薄い状況の中で(よくいえば主観的と客観的の絶妙なバランスの視点で)あることを考えさせられました。
それは「オンライン書店はどんな人のどんな課題を解決できるのだろうか」ということです。この問いは(オンライン書店の部分をネットショップに置き換えて)いまでもECのコンサルティングをする際には最初に考えていただくようにしています。
オンライン書店はリアル書店(街の書店)とどうちがうのか、リアル書店には実現できないどんなサービスを提供できるのか、それによって誰が喜ぶのか――以下、ただのおじさんの昔話ではありますが、ひとつの例として当時のぼくが考えたことを紹介します。
たとえば「会社帰りに書店に寄ろうと思っても、店が閉まってる社会人」の助けになれると考えました。都市部では夜遅くまで開いている書店がありますが、地方にいけば家族経営の書店が多いため閉店時間は早いです。いまのようにコンビニでコミックスの新刊も買えなかったですしね。
似たような課題として、サラリーマンでなくても小さなお子さんがいるお母さんは日中、家をあけづらいためやはり書店が近くて遠い存在になっているということにも目を向けました。
また「マンガなどをまとめて買うときに持って帰るのが重い」という課題も解決できると考えました。これはぼく自身が体験・痛感したことでもありますが、マンガを全巻まとめて買うとパンパンの紙袋を抱えて持って帰らなければならないんですよね。身体を鍛えてるわけでもなければ苦行でしかありませんが、家まで届けてくれる通販の最大の特徴でカバーできます。
あとはちょっとエッチな本とか、男性が少女漫画を買うとか、「レジに持っていくのが恥ずかしい」という心理的な問題も解決可能だと考えました。加えて、店に商品の在庫がない場合に「店員に取り寄せを依頼するやり取りがめんどくさい」とか、「後日また受け取りに来店しなければならない」という課題もネットショップなら解決できます。対面での接客が必ずしも喜ばれるわけではないというシチュエーションが存在するということにも気づきました。
整理すると、
- 24時間365日営業
- 玄関まで届けてもらえる
- 非対面販売
という通販業の特徴を裏返しただけのような話になりますが、これらの特徴が解決できる課題を具体的にイメージすることが大事なのです。