ベイクルーズEC、前期比46%増の背景にメール改革あり
ベイクルーズのネット通販は、ZOZOTOWNなどのショッピングモールと、自社ECサイト「スタイルクルーズ」で運営。スタイルクルーズのサイト内で、「JOURNAL STANDARD」「IENA」「EDIFICE」など、同社が展開する複数のブランドを取り扱っている。
自社ECサイトで複数のブランドを取り扱うのは、運用面のメリットは大きいが、マーケティングには知恵が求められる。メンズ/レディースに分かれるほか、テイストもエレガント、カジュアル、ベーシック、トラッドと異なり、ユーザーが求めるものもそれぞれだからだ。
現状で45万人にもなるというスタイルクルーズ会員に対し、全員に同一のマーケティング施策を打っていては、大きな成長は見込めない。そこで、ベイクルーズ自社ECの責任者である加藤さんがまず着手したのが、メールマーケティングの改革だった。
「加藤さまから最初のお問い合わせいただいたのは、5年ほど前。その際は、『フィーチャーフォンに配信するメールの速度を上げたい』というご要望でした。しかしながら、よくよくお話を聞いてみると、『効果的なメールマーケティングを行いたい』とのお考えをお持ちでしたので、当社のメールマーケティングシステム『WEBCAS』と他社のレコメンドエンジンを組み合わせたレコメンドメール配信をご支援することになりました」
そう話すのは、『WEBCAS』を開発・運営する、エイジアの佐藤浩史さん。5年前からベイクルーズを担当し、メールマーケティングを支援しながら、EC事業の成長を見守ってきた。
「システム導入をきっかけに、さらに高度なメールマーケティングへと進まれました。レコメンドメールの次に着手したのは、新着アイテムを紹介する『新着メール』の改善です。ベイクルーズ様のメルマガは、『定期メール』と『新着メール(レディース/メンズ)』の2種類があるのですが、新着メールは毎日配信されています。
それに自ら登録している会員様は、ベイクルーズ様の熱烈なファンで、メールが届くのを待っている状態。実際、新着メールへの反響も非常に大きく、人気ブランドの商品はすぐに売り切れ、セールの告知をするとサーバが落ちかねない状態になるとか。そうした熱烈なファンに向けて、適切なメールを、適切な速度で配信できないのは機会損失であると、お考えになったのです」
新着メールには、新着アイテムや再入荷商品、「スタイルクルーズ」で更新される旬なトピックスほか、顧客1人ひとりにあわせたオススメアイテムも掲載している。
「過去の購買履歴から、パーソナライズ、レコメンドを行います。JOURNAL STANDARDでジャケットを購入したことがあるなら、次は同ブランドのシャツ、パンツを掲載するといった具合です。そのレコメンドが購入につながったのかを分析し、次に活かす。これをレコメンドエンジン側で解析して、精度を上げられています」
DMP導入、クーポンつきシナリオメールの配信へ
2013年にベイクルーズはDMPを導入し、『WEBCAS』と連携。顧客の段階にあわせ、配信のタイミングと内容を変える「シナリオメール」をスタートして成果を上げている。
ベイクルーズでは、購買履歴をもとに顧客を分類し、段階に合わせて数十種類のシナリオメールを完全自動で配信。シナリオメールの内容は、DMPで分析・抽出したデータを元に、ベイクルーズが作成している。
「メールマーケティングを始められた当時は、オススメアイテムを表示する基本的なレコメンドメールだけだったのですが、徐々に『特集』を掲載したり、購買履歴からそれぞれの顧客に合った情報を掛けあわせたりと、メールの見た目だけでも随分と変わりました。今ではDMPを駆使したデータドリブンなマーケティングを実施し、『どういうメールを送れば成果につながるか』をつかまれています」
2013年にDMPを導入したのは、かなり早い決断だったと言える。ベイクルーズ自社ECの責任者である加藤さんは、テクノロジーの情報収集にも積極的だ。
「現状に満足せず、常に新しい取り組みをして、売上を上げようと考えていらっしゃいます。先進的な取り組みが、売上につながっているのがすばらしいですよね」
自社ECサイトを伸ばすための組織へ
メールをはじめ、ECへの取り組みが変わるとともに、組織体制も変わってきた。自社ECを伸ばすために、専門の部署が、専門の取り組みを行っているのである。
「ベイクルーズ様では、約3年前、ECのマーケティング施策をスムーズに実現するための体制を作り、2014年8月期のEC売上高が前期比46%増という成果につながりました。さらに、自社ECサイトに限ると77%増となっています。多くのアパレル企業さんがモール頼みになっているところを、自社ECサイトの伸び率のほうが高いのだからすごいです。
それは、最新テクノロジーの導入はもちろんですが、EC専業の開発部隊が、細かい機能をコツコツと実装しているからだと思います。たとえば、モールでコンバージョン率が高かった自動通知メールの施策を、すぐに自社ECサイトにも取り入れる、といったことができるようです」
オムニチャネルを見据え、本当に「つながる」システムを
これまで見てきたように、ベイクルーズでは、ECにおけるテクノロジーの重要性を理解し、導入することでその効果を最大限に発揮している。そんなベイクルーズが、エイジアのメールマーケティングシステム『WEBCAS』を採用している理由とは。
「ベイクルーズ様が、他社のレコメンドエンジンと当社の『WEBCAS』をつないだように、今、多くの事業者様が、さまざまなシステムと連携したマーケティングを希望されています。しかし、異なる企業が開発したシステムは、なかなか連携がうまくいかないものです。そうしたトラブルの際には、『WEBCAS』が原因でなくても可能な限りお手伝いをさせていただきます」
つなぐ、といえばオムニチャネル。ベイクルーズではEC会員のほかに、実店舗のカードを持つ会員もおり、そちらの顧客へのメルマガにも『WEBCAS』が採用されている。
「EC会員様と実店舗会員様を、統合する計画があると聞いています。POSシステムと連携して、実店舗で購入した顧客に対し、その行動を元にメールを送るといった施策を打ちたいと。そういったシステムとのつなぎこみを請け負えるところが、なかなかないようですね」
メールマーケティングは終わらない
一時期、ソーシャルメディアやスマホアプリの影響で、「メールマーケティングは終わった」と囁かれることもあった。しかし、メールマーケティングの改善・新たな取り組みが、確実にベイクルーズのEC売上を伸ばしている。
「もちろん、ベイクルーズ様でもFacebookやInstagramはすぐに着手され、好評のようですが、それでもやはり『メールはすごい』とおっしゃいます。メールマーケティングのコンバージョンへの影響は、それくらいインパクトが大きく、他では代替できないものなんですね。
『もう、メルマガなんて』という言葉を聞くこともありますが、しっかり取り組まれているところは、今でも成果を出し続けています。最近話題のマーケティングオートメーションも、結局のところ出口はメールです。メールマーケティングは終わらないと実感しています」
エイジアからEC運営担当者の方へメッセージ
メールマーケティングは終わらないとはいえ、現場では苦戦されている方が多いです。「一斉配信だけでも手一杯」「余裕があれば工夫できるんだけど……」。そうして効果が下がっていくので『もう、メルマガなんて』と言いたくなる気持ちはわかります。
エイジアでは、そうしたお悩みに向き合い、システム面のサポートに加え、メールマーケティング業務のサポートも行っています。ベイクルーズ様も、最初から大きな成果を上げていたわけではありません。「メルマガなんて効果はない」とあきらめず、改善に取り組んでみてはいかがでしょうか。当社がお手伝いします。