「売れる配信」を支える仕組みとは?
━━通常業務に加え、ライブ配信を行うのはリソース面で非常に負荷が高いと思います。体制づくりで工夫された点はありますか。
川端 Amazonや楽天のような一般的なEC業務に加え、動画制作やライブ配信を行う必要があり、リソース確保は最大の課題でした。そこで私たちは、代理店であるセプテーニさんに頼り切るのではなく、「インハウス(完全内製)」でライブを行う決断をしました。自分たちでiPhoneと三脚を購入し、撮影から出演まで全て自前で行うこともありました。

━━大手ブランドがiPhone 1台で配信しているとは驚きです。
川端 自分たちで手を動かすことで知見が溜まり、セプテーニさんともフラットな目線で議論ができます。セプテーニさんにはトレンドのキャッチアップやアルゴリズム解析といった戦略面からライブ配信の企画・設計・運営まで幅広くサポートいただいています。私たちもコンテンツ制作と配信という「現場」に主体的に関わることで、戦略と実行が地続きになり、施策のスピード感が格段に上がりました。
仙波 この「機動力」と「インタラクティブ性」を高めるために、ライブ配信中には出演者以外に「天の声」という役割の人を置いています。リアルタイムのデータを見ながら「今、購入が発生しました!」「在庫が少なくなっています!」と出演者に指示を出し、一気に畳み掛けるような演出を行っています。ライブ配信開始30分以内の購入数がその後の「伸び」を左右するという傾向が見えたため、冒頭に抽選企画を持ってくるなどの工夫も凝らしています。こうした「売れる仕組み」をレキット様と共に、一回ごとの配信後に高速でPDCAを回してブラッシュアップしていきました。
Septeni Japan株式会社
メディアソリューション領域メディア戦略推進部
縦型動画・ドラマ領域ショート動画開発部 マネージャー
仙波 学氏
━━PDCAを回す上で重視している指標はありますか。
川端 「リアルタイム視聴者数」と「ライブ配信初動の注文数」です。ここを最大化するために、トークの内容、配信する曜日や時間帯、出演者の数、インセンティブ設計など、あらゆる変数を毎回変えて検証しています。配信後にはすぐにセプテーニさんと振り返りを行い、「今日はこれが良かったから次はこうしよう」と次回の仮説を立てています。
数千個をTikTok Shopで販売、社内からも好評
━━これまでの取り組みによる具体的な成果を教えてください。
大谷 定量的な成果としては、累計で4,000個近い販売実績が出ています。新しいチャネルが一つ増えたことで、純粋なインクリメンタル(上積み)の売上が作れました。また、定性的な面では社内の変化が非常にポジティブです。普段はお客様と直接接点のない研究開発部門やバックオフィスのメンバーもライブ配信に出演し、「お客様の声を直接聞けて勉強になった」という声が上がっています。
レキットベンキーザー・ジャパン株式会社
マーケティング ヘッド オブ コンシューマー エンゲージメント
大谷 真輝人氏
岡部 マーケティング担当としても、これまで聞けなかった「商品を使っていない人が何に悩んでいるのか」という生の声を知ることができ、今後の戦略に活かせる資産になっています。意外だったのは、シニア向け製品が売れたり、ギフト需要があったりと、想定していなかった層へのリーチができたことです。
川端 社内での「ライブコマース」に対する期待値も大きく変わりました。当初は懐疑的な意見もありましたが、たった1〜2時間でこれだけの数が売れるという実績が出たことで、上層部を含めて「これはやるべきだ」という判断になり、他ブランド(ヴィート、ミューズなど)での展開や予算化が決まりました。
