「and ST」が仕掛ける、プラットフォーム戦略
━━アンドエスティが展開する「and ST」の現状と戦略についてお聞かせください。
飯塚 「and ST」は、中期経営計画2030においてGMV(流通総額)1,000億円を目指しています。直近のGMVは462億円(2026年2月末時点)に達し、会社全体の中でも大きな比率を占めていますが、現状に満足しているわけではありません。
日本の少子高齢化や実店舗の出店余地の限界といった市場環境の変化を見据え、私たちはさらなるEC強化を進めています。その一環として「グループ外ブランドも出店するプラットフォーム事業」への転換を推進しています。
「and ST」を多様なブランドが集まるオープンプラットフォーム化することで、グループ外収益の創出を加速させています。本事業を成長させるためには、単なるシステムの構築にとどまらず、膨大なデータを効率よく分析し、「どのお客さまに、どのようなタイミングでアプローチするか」といったUI/UXの緻密な設計が求められます。
━━プラットフォーム化において、レビューやQ&Aといったユーザーコンテンツ(UGC)はどのような役割を担っているのでしょうか。
飯塚 レビューをはじめとしたUGCは、「ユーザーの商品購入における重要な判断軸であり、ECの成長を支える基盤」であると考えています。プラットフォームとして多種多様な商品を扱う中で、お客さまが何を信頼して購入の意思決定を行うのか。その答えをもたず、お客さまに「チャレンジ(不安を抱えたままの購入)」で物を買わせてしまうようなサイトは、もはや成り立たないと考えています。
特にアパレルは、サイズ感や素材感、透け感など、画像だけでは判断しきれない不安が多い商材です。だからこそ、他者の実体験であるレビューが、不安を解消するための最良の判断材料となります。
レビューはユーザーだけでなくAIの情報源としても機能する
━━ZETA様は、多くの企業にレビュー・口コミ・Q&Aエンジン「ZETA VOICE」を提供されていますが、レビューの持つ情報価値や役割についてどうお考えですか。
出張 レビューは商品の「透明性」を上げるための有効な手段の一つです。実物の商品が目の前にないECにおいて、レビューがあることで商品情報の解像度は劇的に上がります。
また、こうしたレビュー収集は単なる一方的な情報発信ではありません。ユーザー同士のコミュニケーションの場としての役割もあり、多くのユーザーが参加しながら商品情報を育てていくプロセスそのものだと言えるでしょう。
梶村 レビューの信頼性の面では、ポジティブな評価に加えて多少のネガティブな意見が含まれていても「正直な感想」として他のユーザーに受け入れられやすい傾向があります。忖度のない意見が混ざっているからこそ、商品情報としての価値が担保されると考えています。
段 さらに、昨今の生成AIの浸透により、レビューはユーザーだけでなくAIにとっても重要な情報源となり、新たなフェーズを迎えました。ユーザーがAIに質問した際、レビューは回答を生成するための信頼性の高い「元データ」として機能します。そういった情報源が豊富であればあるほど、AIはより精度の高い回答をユーザーに返せるようになります。
━━アパレル業界では「商品のサイクルが早いため、レビューは蓄積しにくい」という声も聞きます。
出張 かつてはそうした考え方もありましたが、現在はレビューがあるのが当たり前、というフェーズに到達しています。アンドエスティ様の場合、ユーザーがレビューを見ることを前提としたページ構造を設計されており、訴求の最大化を図った上でユーザーが最も知りたい情報へスムースに辿り着けるよう工夫されています。


