「開封率35%」を実現する熱狂的ファンへのCRM
━━既存のお客様との関係維持、いわゆるCRMについてはどのような成果が出ていますか。
真嶋 特にニュースレターの効果が高いですね。開封率は平均35%を超えており、時には40%台に達することもあります。これはグローバル全体で見ても日本が突出して高い数字です。ニュースレター経由でご購入いただくお客様はAOV(平均客単価)も高く、非常に強い信頼関係が築けていると感じます。
━━なぜ、それほどまでに高い開封率を維持できるのでしょうか。
真嶋 「広告ではない、エディトリアル(編集)なコンテンツ」を提供し続けているからだと思います。例えば、数あるスクラブ商品の違いを比較・解説するコンテンツなどを週に2〜3本配信しています。こうしたネタは、店舗スタッフとの会話などから着想を得ています。
━━店舗スタッフとの連携がコンテンツの質の担保につながっているのですね。
真嶋 朝のミーティングなどで「お客様からこんな質問をされた」という現場の声をキャッチアップし、それをデジタルのコンテンツに落とし込んでいます。お客様が本当に知りたい情報を、ラッシュらしいワクワクする構成やワーディングで伝える。このサイクルがファンの心を掴んでいるのだと思います。
山下 また、製造拠点でのイベントやSNSを通じた「キッチンツアー」など、製造の裏側を見せる取り組みもファンコミュニティの活性化に寄与しています。今後は「ラッシュクラブ」限定の商品開発に、アジアのお客様の声を活かすといった試みもスタートします。
アプリを軸にしたパーソナライズと倫理的データ活用に挑戦
━━最後に、今後のラッシュジャパンの展望をお聞かせください。
真嶋 グローバル基盤を使いつつも、より日本のお客様に合わせたUIや体験を構築していきます。購入した商品に合わせたCRMの自動化なども進めたいですね。また、マーケットプレイス独自の限定セット展開など、外部サイトでの可能性も広げていきたいと考えています。
山下 究極的には「ウェブサイトをなくしたい」というのが私の持論です。ブランドサイトは情報集約の場として残しつつ、買い物体験そのものは、私たちが最も安全かつ最高のカスタマーエクスペリエンスを提供できる「アプリ」に集約していきたい。それが理想の形です。
━━データの活用についてはどうお考えですか。
山下 これまで私たちは、お客様のデータを積極的に収集してきませんでした。しかし、ようやく自社システムがデジタルとリテールで繋がり、「ラッシュクラブ」という形でデータを取得できる基盤が整いました。これを活用して、よりパーソナライズされた「ファイブスター」の体験を提供していきたいと考えています。
━━そこでもやはり「エシックス(倫理)」が鍵になるのでしょうか。
山下 もちろんです。お客様のデータが意図しない形で使われたり、外部に流用されたりすることは絶対にあってはなりません。外部のプラットフォームに依存せず、自分たちの倫理観に基づいたシステムで、自分たちの手でお客様のインサイトを深く理解する。それがラッシュジャパンの目指す、これからのデジタルのあり方です。
