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【リアル×オンラインのハイブリッド開催】ECzine Day 2025 October (2025.10.9)

MMOL Holdings河野氏がホットなトピックに迫る! EC×AI活用最前線

これからは“AIが選んで動けるEC”でしか買われない?体験改善に向けた3Stepとチェック項目を紹介

AEO・ASO・ダッシュボード設計時の参考に! お役立ちチェックシート

 ここまで紹介した手順を進めやすくするために使える、チェックシートを用意しました。併せて、実施に役立つツールにも触れています。ぜひ進捗時の確認や検討材料の一つとしてご活用ください。

AEO:AIに“選ばれる”ための基本10項目

  1. Qクラスター:主要質問→下位質問まで見取り図(選び方/比較/注意点/価格帯/用途別など)を作成できているか
  2. 一次情報リンク:数値根拠・試験方法・公的基準・製造プロセスを明示できているか
  3. 構造化データ:Product/Offer/AggregateRating/FAQPage/HowToをJSON-LDで記述できているか
  4. 画像・表の代替テキスト/キャプション:AIが拾える説明文を付与できているか
  5. E-E-A-T:執筆者/監修者情報、専門資格、実地検証を掲載できているか
  6. 比較表:重量/素材/互換/保証/修理性などといった自社・他社の差分軸を明確化できているか
  7. FAQの「質問文」:AIの問いかけと同じ会話体にできているか
  8. 既知の誤解への反論:AIにありがちな「誤読」を先回りで訂正できているか
  9. 引用・出典:本文下部にまとめ、AIが参照しやすくなっているか
  10. コンテンツの更新頻度:在庫・価格・規格改訂を日時付きで更新できているか

ASO:エージェントが“動ける”ための推奨チェックリスト

  1. MCPエンドポイントの公開:プラットフォーム側の対応に合わせる。Shopifyであれば、Storefront API/Customer Account APIが存在
  2. 検索→比較→カート→決済のAPI連結:タイムアウト/再試行含めて円滑に動作できるようにする
  3. ポリシーFAQの機械可読化:返品/保証/関税/送料などをAIが参照できるように記載する
  4. イベント計測:agent=true等のセッション識別子を付与する、またChatGPT/Perplexity/Google AIモードなど、ソース媒体の確認ができるようにする
  5. 価格・在庫の鮮度保証:リアルタイム商品フィード、キャッシュTTL、リージョン別価格などを適切にAIが理解できるように記述する
  6. 同意と権限:リスク管理のためにも、決済前の人間承認やログ保全の仕組みを実装する
  7. 障害時のフォールバック:ウェブサイト・ECサイトへの誘導や人間への接続など、障害・トラブル発生時のマニュアル対応やフローの切り替え方を明確にする
  8. 監査ログ:「誰のエージェント」が「何を見て」「何を実行したか」を観測できるようにする

ダッシュボード設計:“できているか”を毎日確認するための指標一覧

  1. SOA(Share of Answer):主要質問群×エンジン別の回答採用率を日次/週次でチェック
  2. Citation Share:採用回答内で自社が引用リンクに含まれる比率を観測
  3. ACV(Agent Conversion):エージェント起点のCVR、中間指標(カート追加率/Checkout表示率)を見る
  4. Policy Hit:対話中に参照されたFAQ/ポリシー項目の件数を定点観測 ※不明点のボトルネック解消が可能に
  5. Freshness:価格/在庫/配送日の更新遅延(分単位)を見える化する
  6. Quality Gate:公開前レビューの二重承認率、ハルシネーション検知件数を測る

施策実施に役立つツール例

  • Rich Results Test:Googleが提供する構造化データ検証ツール。「Product」「FAQPage」「HowTo」といったJSON-LDを都度チェックすることで、AIが理解しやすいデータ構造の維持が可能に
  • AI Overviewsトラッキングツール(例:BrightEdge、Keywordmapなど):AEOの効果測定ができるツール類
  • MCP群(例:Shopify Storefront MCP server/Customer accounts MCPなど):MCPとは、AIエージェントの標準プロトコルとして普及しているもの。購入導線の実装時には、ECプラットフォーム側で用意されたMCPが強力な味方となる

運用フェーズに入ったら? 毎日見たいKPIと高速PDCAのコツ

 ワークフローとチェックリストを一通り網羅できたら運用のフェーズに入ります。AEO(AI回答に選ばれる確率を上げる編集とデータ設計)とASO(選ばれた瞬間に買える導線)の両輪を回せているか、次のKPIをもって確認しましょう。

SOA(回答シェア数)×APP(Average Purchase Price:平均購入単価)

 ダッシュボードを毎日見て「選ばれて、動けているか」を可視化し、レビューや返品データから商品説明・ポリシーを改善する━━こうした高速PDCAを回すのが、エージェントコマース時代の基本動作です。

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指標は気にしても依存するな 黎明期だからこそ陥りがちな「三つの罠」とは

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この記事の著者

ミリモルホールディングス株式会社 代表取締役/CAIO 河野貴伸(コウノタカノブ)

 1982年生まれ。東京の下町生まれ、下町育ち。からくり人形師を祖に持つ河野家の十五代目。2000年からフリーランスのCGクリエイター、作曲家、デザイナーとして活動。2013年、ブランディングエージェンシー、株式会社フラクタ創業、代表取締役就任。2020年、上場企業にバイアウト。2024年1月、フラ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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