ファナティクス・ジャパンとパートナー締結の背景とは
━━まずは、V・ファーレン長崎がファナティクス・ジャパン(以下、ファナティクス)とパートナーシップを結んだ背景についてお聞かせください。
原 これまで、V・ファーレンと、グループ会社であるB1クラブ「長崎ヴェルカ」のグッズを扱う会社がジャパネットグループ内に、ありましたが、商品開発や人員体制などに課題があり、厳しい実績が続いていました。
そこで、グッズ業界で確かな実績を持つファナティクス・ジャパンさんと組むことで、クラブが持つポテンシャルを十分に活かせるのではないかと考え、2024年1月のリニューアルに向けてパートナー契約を結びました。
━━具体的に、どのような部分に課題を感じていたのでしょうか。
原 ジャパネットの物販の基本的な考え方は、「厳選集中。本当に良いと自信を持って薦められる商品に絞り込むことで、1点あたりの仕入れ量を増やし原価を下げ、それを大量に売る」というものです。当初はこれをグッズにも取り入れようとしました。しかし、スポーツグッズには「選手の移籍」や「シーズンのコンセプト変更」といった特有の事情があります。
限られた商圏である長崎で、リスクを加味しながら大量仕入れ・大量販売のモデルを回す際、どうしても「売る力(セルアウト)」が追いつかず、うまくいかない要因となっていました。
━━なるほど。リニューアルにあたっては、ECサイトのシステム面も含めて刷新されたのですね。
原 はい。販売主体がファナティクスさんに変わるタイミングで、ジャパネットのシステムに乗せていた従来のECサイトを、運用含めてお任せする形でガラッと変える決断をしました。
石川 当時、長崎さんが運用されていたECサイトを拝見したのですが、ジャパネット様はECの知見も豊富にお持ちなので、非常にわかりやすいサイトでした。ただ、我々は「スポーツカンパニー」としての強みがあります。より選手に寄り添ったビジュアルや、ファンの熱狂を取り入れたUI/UXなど、スポーツならではのクリエイティブでさらにパワーアップできると考え、立ち上げを共にさせていただきました。
オンラインストアと店舗の購買体験を最適化
━━現在、スタジアムシティ内にはフラッグシップストアもありますが、リアル店舗とECで、商品展開や役割のすみわけはどのように考えていますか。
真嶋 店舗とEC、それぞれの購買体験にメリットがあると考えて設計しています。店舗は「試合の熱」をダイレクトに感じつつ、お客様同士の交流も生まれ、商品を実際に触って購入できる場です。そのため、店舗では「勝った時限定のシークレットアイテム」や、毎試合違う内容の「ガチャガチャ」など、アミューズメント性の高い商品を強化しています。
一方、ECの最大のメリットは「在庫がない状態(納品前)でも販売ができる」点です。ファナティクスに変わってから、ユニフォームやコンフィットTシャツなどは、「先行予約販売」という形をとり、好きな選手の背番号を選んで圧着した状態でお届けするモデルがうまくいっています。
━━雑貨類などもECと店舗で変えているのでしょうか。
真嶋 はい。雑貨類も選手別のアイテムなどは、期間を設けた「受注生産」にしている場合があります。選手の背番号や、名前を使ったグッズを全選手受注で展開しています。上限を設けずに注文が取れるため、お客様の需要に最大限答えることができると思っております。また、選手の累積記録達成記念グッズなどはEC限定の受注生産品とするなど、販路による差別化を図っています。
━━EC利用者の属性に特徴はありますか?
石川 長崎にお住まいの方からの注文が約8割を占めていますが、ユニフォームの先着販売時などは東京都在住の方も多く、全国に熱量の高いファンがいらっしゃるのを感じます。
真嶋 また、対戦相手とのコラボグッズも積極的に展開しています。長崎スタジアムシティの店舗に来店されるアウェイサポーターは全体の1割程度ですが、ECであれば遠方の相手チームのサポーターにも購入いただけるため、長崎県外の方へのアプローチとしても機能しています。
