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ECzine Day 2025 June【オンライン+スタジオ観覧型イベント】

2025年6月12日(木)10:00~17:25

SHOPTALK 2025レポート

米国小売・ECの検索体験の現状と国内の比較/SHOPTALK 2025レポ

検索される瞬間にほぼ勝負はついている

 続いて、検索に関する数多くのセッションを聞いて感じたことを共有します。それは「検索される瞬間にはほぼ勝負はついている」ということです。検索においては、データの整備、インデックス速度の改善が重要という話がありました。当社でも取り組んでいるところではありますが、検索される前の事前準備ができていないと、より良い検索結果や素早い検索結果の表示は実現できないのです。

 ここまでの話は当社がずっと取り組んできたことであり、米国においても最先端レベルであることが確認できたのは良かったです。そして、画像・会話・パーソナライズの生成AI検索に関する活用事例をたくさん見ることができました。特に、マッキンゼーによるリテールにおける検索の調査結果は有用でした。資料も公開されているので、よかったら合わせて読んでみてください。

 また、「検索は体験」という表現も聞きましたが、まさにその通りだと思います。検索というのは、店舗における店員との会話と同様にユーザーとの対話であり、CXとして非常に重要であるということが言えます。

 目される、購買後体験の強化 

 またこの日もマーケティングチームのリクエストで、1つだけNext Generation Searchではないトラックのセッションを聴講しました。

 Tech Solution SpotlightトラックのTechnologies Improving Loyalty and the Post-Purchase Experienceというセッションです。このTech Solution Spotlightというトラックは、初日と2日目共通のトラック名であり、主にスタートアップ企業がソリューション紹介をするという内容でした。ソリューション紹介のみに留まっていたため、セッション内容から得られる大きなインプットはありませんでした。

 ただ、このセッション名にもあるPost-Purchase Experienceというカテゴリは日本ではさほど重要視されていないものの、これから成長するジャンルになるのでは?という印象を持ちました。PPXと略されますが、日本語に訳すのであればと「購買後体験」ということになります。

 具体的には、「返品のしやすさ」「発送のスムーズさ」「開封体験の向上」など、購入後の体験、いわゆるコンバージョン後におけるCXを高める取り組みです。

 これは、F2(2回目の購買)につなげる施策としてはもちろん、未登録で購入したユーザーに対する会員登録の促進や、サブスクリプション加入を促すために役立つ重要な取り組みであると言えます。

 米国は返品文化ということもありますが、展示ブースでは返品CX向上ソリューションの企業が何社かありました。

 また、PPXのもう一つの事例として、Reward(ポイント)をどう活用してもらうか、というジャンルもかなり取り組んでいる企業は多かったという印象です。Redemption Rate、すなわちポイントの利用率が低いのはCXとして良くないということが海外では浸透しつつあるようです。

 日本だと昔は、ポイントを使われなければ一定期間後に利益になるという側面から、利用率の低さが利益率の高さというトピックが一時期ありました。しかしCXを重視する時代においては、いかにポイントをきれいに使い切ってもらうかのほうがより重要だと思います。

 なおこのセッションの最終登壇者は、「他では手に入らない魅力的なポイント交換商品を用意する」というビジネスモデルで、これはなかなか良い発想だと感じました。この企業のクライアントにAMEXがあり、テイラースウィフトの日本公演でAMEXのプレミアム会員に優先案内が行われていたことを思い出しました。

 このように会員向けに独自のポイントプログラムを組むことが、購買後体験をより強固にする可能性があります。購買後体験の設計にあまり力を入れられていない企業の方は、ぜひこちらの内容を参考にしていただきたいです。

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この記事の著者

ZETA株式会社 代表取締役社長 山崎徳之(ヤマザキ ノリユキ)

プロバイダ及びデータセンターにおいてネットワーク・サーバエンジニアを経て2006年にZETA株式会社を設立、代表取締役に就任(現任)。ECソリューション「ZETA CX」シリーズとしてサイト内検索エンジンやレ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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