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【ハイブリッド開催】ECzine Day 2025 Winter

2025年2月4日(火)13:00~18:45

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事業成長に必要なのはビジネスを“立体的”に捉える力 マーケティングの一部に進化する決済の最前線を追う

 決済を単なる購入手段と捉えていないだろうか。実は、eコマース・小売・メーカーといった業種を問わず販路拡大やブランディングに大きく影響し、さらには事業継続性を保つためのBCP対策においても重要な役割を果たす。既存ビジネスをアップデートする上で、どう活用できるのか。株式会社デジタルガレージ フィナンシャルマーケティング本部 ペイメントマーケティング部 部長/株式会社DGフィナンシャルテクノロジー 営業本部 マーケティング部 部長 太田裕介氏が、多くの企業がまだ気づいていない決済の可能性を語った。

決済データは宝の山 顧客の解像度を上げる活用法とは

 売上向上や新規顧客の増加を目指して、広告配信などの集客施策に注力する企業は多いだろう。しかし、ほかにもカスタマージャーニーの中で軽視してはならないものが存在する。顧客が購入の直前に必ずとおる“決済”だ。

 特にオンラインでは、決済に時間がかかると離脱する顧客も珍しくない。裏を返せば、スムーズな決済体験は、ブランドへの好感を醸成するきっかけになり得る。さらに昨今は、どのような人が何をどの程度購入したのかなど、決済を通じて取得できるデータの精度が向上した。これを活用すれば、新たなアプローチ施策の検討が可能だ。

 こうした状況から、太田氏は「今や、決済は顧客が買い物をするだけの機能から、マーケティングの一部となりつつある」と話す。

「AI技術が発達している今、専門知識がない人でもスムーズにデータを分析できるようになりました。そんな中で、EC領域だけでなく小売やメーカーも、自社に蓄積されたデータの可能性に着目し始めています。

 ここで重要となるのが、他社と協業してビジネスを“立体的”に捉える思考です。メーカーであれば、自社が保有しているデータと小売側の購買データを掛け合わせることで、顧客ごとにパーソナライズしたクーポンを配布するなど、リテールメディア戦略を推進できます。それと同様に、決済ベンダーとともにデータを活用すれば、顧客へアプローチする施策の幅が格段に広がるでしょう」

株式会社デジタルガレージ フィナンシャルマーケティング本部 ペイメントマーケティング部 部長/株式会社DGフィナンシャルテクノロジー 営業本部 マーケティング部 部長 太田裕介氏
株式会社デジタルガレージ フィナンシャルマーケティング本部 ペイメントマーケティング部 部長/株式会社DGフィナンシャルテクノロジー 営業本部 マーケティング部 部長 太田裕介氏

 この考えのもと、デジタルガレージグループは“決済+α”の価値創出を重視してきた。中でも、オンライン・オフラインを問わず、決済ソリューションをカスタマイズして提供しているのが、DGフィナンシャルテクノロジーだ。同社の強みは、グループリソースを組み合わせて、各社に最適な施策を提案できる点にある。

「たとえば当社グループは、株式会社カカクコムと協業体制を築いています。この協業においては、同社が運営するレストラン検索・予約サービス『食べログ』に蓄積された予約データ活用の可能性についても議論を重ねています。

 グループ全体のサービスから『どの時間帯に、どのような商品が、どんな決済方法で売れているのか』を分析することで、顧客の解像度を上げ、商品のレコメンデーションや需要予測に役立てています。決済を起点にマーケティングまで支援できるのは、当社グループだからこそです」

なぜ決済の多様化が必要なのか D2Cのリアル進出にもかかわる理由

 時代の変化に合わせて、キャッシュレスなど多様な決済手段が生まれている。マーケティング施策につなげるにしても「どれを選択すれば良いのかわからない」という人もいるだろう。そこで、自社に最適なものを選ぶコツを、太田氏はこう語る。

「属性によって、頻繁に利用する決済手段は異なります。たとえば、クレジットカードと一言でいっても、ブランドによって富裕層の利用者が多いなど特徴があるのです。また、若年層向けに商品やサービスを展開するのであれば、電子決済や後払いは外せないでしょう。自社の売り場を利用する顧客層を理解し、属性に合致する決済手段を取りそろえなければなりません

 とはいえ、複数の決済手段を導入するのは容易ではない。電子決済一つをとっても「d払い」「楽天ペイ」など種類は様々だ。導入には、各サービスの提供企業と個別で契約する必要がある。そこで、より手軽に決済手段を増やす打ち手として、DGフィナンシャルテクノロジーは「Cloud Pay(クラウドペイ)」「Cloud Pay Neo(クラウドペイネオ)」を生み出した。

「Cloud Payは、主に実店舗で利用する電子決済を一つの二次元コードにまとめられるサービスです。実店舗で買い物をした際、レジの横に複数の二次元コードが並んでいる光景を見たことはありませんか。わざわざ自分が利用したい決済サービスの二次元コードを探して読み込むのが、面倒に感じる顧客もいるでしょう。Cloud Payは、共通の二次元コードを各サービスのアプリに搭載されたカメラ機能で読み取ることで、決済が完了します。現在『d払い』『楽天ペイ』『au PAY』をはじめ、計8種類に対応しています」

 そんなCloud Payにクレジットカード決済を追加した端末不要のキャッシュレス決済サービスが、Cloud Pay Neoだ。Cloud Payと同様に複数の決済サービスの契約を一本化できる上、入金タイミングもまとめられる。 

 こうした利便性により、オンラインからオフラインへの販路拡大まで後押しするのも、メリットの一つだ。

「たとえば、ECサイトでのみ商品を販売していたD2C企業が、期間限定でポップアップショップを出店するケースがありますよね。売り場設営や商品補充など、様々な準備をしなければならない中で、複数の決済サービスと個別に契約するのは大きな負担となります。

 加えて、クレジットカード決済を導入する場合は、専用の端末や電源も必要となります。Cloud Pay Neoはスマートフォンの電波さえあれば、電子決済とクレジットカード決済の両方に対応可能です。そのため、ポップアップショップを出店する度に、Cloud Pay Neoをリピート活用する企業も少なくありません

アパレルの接客をアップデートする使い方も スムーズな購入導線を実現

 Cloud PayとCloud Pay Neoの強みは、導入のしやすさや決済時の利便性だけではない。特に、接客から購入までのスムーズな導線を設計するのに役立つという。中でも需要が高いのが、アパレル企業だ。

「多くのアパレル企業の実店舗では、スタッフがコーディネートや似合う色、サイズを丁寧に提案しています。そうした『接客の流れのまま決済まで進めたい』との声が、当社に多く届いていました。Cloud Pay Neoは、二次元コードを紙やスマートフォンの画面などに表示して利用できるため、顧客が試着したままその場で決済して退店することも可能です。接客の流れを止めず、顧客満足度の高い体験が提供できます」

 また、メーカーでは商品のプロモーション企画と連動してCloud Pay Neoが活用されるケースもある。たとえば、飲料メーカーが新商品を訴求したい場合、その商品を購入した顧客にのみ、決済時に特別なクーポンをオンライン上で配布するといった施策を実現できる。

「小売と協力して、特定のメーカーの商品のみ値引きするといった設定もできます。POSシステム自体の設定を変更しようとすると、改修に時間やコストがかかりますが、Cloud Pay Neoはクラウドサービスのため、様々な施策に合わせて柔軟にカスタマイズが可能です。今後は、こうしたマーケティング支援を新機能『Cloud Pay Marketing』として、より積極的に提供していきます」

高まるBCP対策の優先度 緊急時にも買い物できる仕組みが信頼につながる

 もう一つ、Cloud PayとCloud Pay Neoが活躍する場面が停電の発生といった緊急時だ。太田氏は「業種を問わず、BCP対策の優先順位が高まっている」と強調する。

「小売では催事活用だけでなく、既存の決済端末の破損をはじめ、トラブル発生時のバックアップとしての導入が進んでいます。仮に一時的な停電が発生した場合、常時電源が必要なPOSレジや決済端末は利用できません。現金がなければ買い物できず、顧客に不便さを与えてしまうでしょう。そんなときでもCloud PayとCloud Pay Neoは、顧客のスマートフォンが利用できるネットワーク環境さえあれば支払いが可能なため、サービス提供の安定性を高められます」

 太田氏が説明するように、決済手段の拡充は売上を上げる目的だけでなく、企業と顧客に安定したインフラや安心できる決済環境を提供する意味でも、欠かせない施策だといえる。あらゆる場面を想定した購買環境の整備が、結果的に顧客の信頼にもつながるだろう。

 こうした攻めと守りの戦略を両立するために、DGフィナンシャルテクノロジーは、企業に向けて提供する“付加価値の種類”を拡大する考えだ。

「当社の仕事は、決済機能を提供することで終わりではありません。その先にある企業の課題解決までを考えます。そのために新たなシステムの開発が必要であれば、当社グループのリソースをフル活用して対応します。たとえば、今後はAIカメラと決済サービスを組み合わせて、顧客の退店時に自動で支払いが完了する仕組み作りも検討しています。今後も、提供できる価値の“深さ”を追求していきます」

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