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ふるさと納税DXで観光資源も返礼品に? ギフティが自治体課題解決・地域活性化につながる一手を提案

 生まれ育った街や、応援したい自治体を選択して寄附ができる「ふるさと納税」。近年は同制度の商品設計にも変化が訪れている。この背景に存在するのが、DXとデジタルギフトの浸透だ。2010年に創業し、個人間・企業間をはじめとするあらゆる形態のデジタルギフトサービスを提供してきた株式会社ギフティが、ふるさと納税の可能性を広げるために今何に取り組んでいるのか。各自治体は、ふるさと納税をきっかけとした地域経済発展に向け、どのような工夫ができるのか。同社のRegional Community事業部 本部長 兼 常務執行役員 森悟朗氏に話を聞いた。

前例なき中、なぜ岡山県瀬戸内市が旅先納税と返礼品デジタル化の初事例に?

 「ソーシャルギフト」という言葉が今ほど浸透する以前の2010年代から、デジタルを介したギフトサービスをCtoC、BtoCと様々な方面に向けて展開してきたギフティ。同社がいわゆるGtoC(行政向け)のサービスに進出したきっかけは、2016年にさかのぼる。

「私は当時まだギフティに所属しておらず、JCBおよびJTBのギフト券のオペレーション業務を担う株式会社J&Jギフトの代表取締役社長を務めていました。同社でギフト市場の今後を考えていた際にギフティの創業者 太田(睦氏)と出会い、ギフトを電子化できるシステム『eGift System』を紹介されたのです。

 ちょうど同時期に、私は当時しま共通地域通貨発行委員会事務局長だった江口義信氏から、長崎県内の複数の離島市町で使える紙のプレミア商品券『しまとく通貨』の運用改善の相談を受けていたところでした。ギフティのシステムが応用できるかもしれないと考え、『それなら良い会社がありますよ』と紹介して生まれたのが、電子地域通貨型のしまとく通貨です。

 これをきっかけに、ギフティとJ&Jギフトは『Welcome ! STAMP(現:e街プラットフォーム)』を開発し、ギフティは地方自治体との取り組みを進めるようになりました。その後、東京の離島で使える『しまぽ通貨』やコロナ禍の『Go To トラベル』事業、私たちが『旅先納税』と呼んでいるふるさと納税のデジタル化へとつながっています」

株式会社ギフティ Regional Community事業部 常務執行役員 森悟朗氏
株式会社ギフティ Regional Community事業部 本部長 兼 常務執行役員 森悟朗氏

 森氏は、しまとく通貨の導入をきっかけとし、2019年にギフティへ参画。ギフティは、同年に自治体向けソリューションとして、旅をしながらふるさと納税を実現する「旅先納税」システムと、地域で発行・利用可能な商品券を電子化し、流通させるシステム「e街ギフト」を岡山県瀬戸内市に提供している。同市がe街ギフトをふるさと納税の返礼品として提供したのが、旅先納税として現在提供されるサービスの最初の事例だ。

慣習を大事にする自治体に前例のないフォーマットを導入するのは、非常にハードルが高いことで、首長の理解も欠かせません。瀬戸内市の市長 武久顕也氏は、公務で東京都の島しょ部に訪れた際にしまぽ通貨を使い、利便性の高さを体感した1ユーザーでした。デジタルの知見がない自治体職員が一から要件定義をするのは困難ですが、仕組みとして存在するならそれを何らかの施策にうまく組み込めないものかと相談を受け、実現したのが『旅先納税』と『瀬戸内市e街ギフト』です」

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この記事の著者

清家直子(セイケ ナオコ)

フリーライター。地方新聞社で報道記者として、行政や事件報道に従事。現在は、企業オウンドメディアやビジネス系、法律関連サイトなどでインタビューを含めた情報発信を行っている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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