第1弾商品はアパレル? クラファンからスタートし顧客接点の拡大へ
Super Normalは、現時点で具体的なターゲット層や取扱商品を定めていない。奥谷氏はその理由を「全員が自分だけの普通や守りたいものをもっているはずだから」と話す。同社はまず、既に一定の顧客が存在するプラットフォームを通じて、商品の販売を始める計画だ。
「第一歩として、既存のD2Cブランドとの協業やクラウドファンディングでの販売を考えています。その際に重要なのは、Super Normalの名称が目立つことではありません。Super Normalはブランドではなく活動です。あくまで裏方として、他ブランドや団体の商品開発・販売を支援していくつもりです。そうした取り組みこそ、Engagement Commerceといえます」
既に、アパレルや食に関するD2Cブランド、団体など、複数の接点が生まれているという。2024年末から2025年に、第1弾となる商品の発売を目指し準備を進めている段階だ。
「良品計画時代に『足なり直角靴下』を開発したこともあるため、靴下の商品づくりにも取り組みたいです。そのため、おそらく最初に販売するのはアパレル関連の商品でしょう。靴下の産地はもちろんですが、アパレル業界の方とコミュニケーションをとりながら、協業の可能性を探っています。
最初は、既存のプラットフォームで実際に商品を販売してみてお客様の反応を確かめたいです。その上で自社ECサイトのオープン、SNSを活用した情報発信、イベントの開催などと、顧客接点を拡大していきます。SNSで『皆さんにとっての普通とは何ですか』と問いかけ、得られたアイデアをもとに一つずつ取扱商品を増やす予定です」
まだ立ち上げから間もないSuper Normalだが、奥谷氏は「ローカル認証のような存在になりたい」と将来像を語る。そのために、地方の工場や農家を含め、事業規模が小さくても質の高い経営を行っている人々と協力体制を築く考えだ。
「私は、従来のものづくりを『カロリーが高い』と表現します。アパレル一つとっても、一生のうちに必要な洋服以上の商品が、日々大量に生産されているからです。そんな時代に新しい商品を世に送り出すのであれば、社会に還元できるビジネス構造でなくてはなりません。
そもそも、大手コンサルティング会社で経験を積んだわけでもなく、学術的な活動を始めたのも比較的最近です。私が実績を上げられた大きな要因は、小売の現場での実践にあると思っています。これからは、小売業を通じて社会貢献ができると証明したいです」