日本で影響力を増す中国発の越境ECプラットフォーム
スマートフォンやパソコンで気軽に商品を購入できるようになった今、越境ECまでも当たり前になりつつあります。そんな中で、数年前より日本で徐々に注目を集めているのが、アリババグループが運営する「AliExpress(アリエクスプレス)」です。今回は、同プラットフォームを中心に越境ECのトレンドと可能性を紹介します。
AliExpressは、世界200以上の国と地域で利用可能な越境ECサイトです。昨今、日本でも同プラットフォームで購入した商品を紹介するTikTokやYouTubeなどの投稿が見られます。
低価格と豊富な品ぞろえが特徴で、電子機器からファッション、雑貨まで、ありとあらゆるジャンルの商品が購入可能です。世界中のセラーが出品しており、日本ではなかなか見つからないユニークな商品も多数取り扱っています。
たとえば、スマートフォンやタブレット、ワイヤレスイヤホン、モバイルバッテリーなども販売されています。日本未発売の最新ガジェットが入手できる点に惹かれる消費者もいるでしょう。ただし、電子機器類を海外から輸入する場合には、日本が定める規制・規格に適合しているかどうか確認する必要があるため、注意が必要です。
SHEINやTemu ライバルとの違いは?
近年、「SHEIN」や「Temu」が目覚ましい成長を遂げています。この二つとAliExpressは、何が異なるのでしょうか。
SHEINは、特にファッションとビューティーに関連した商品を多く取り扱っている一方で、AliExpressは幅広い商品カテゴリーを取り扱い、多様な層にアプローチしています。特に、前述したとおり電子機器やガジェットの品ぞろえが強みです。
また、TemuはAliExpress以上に「超格安」を前面に押し出し、ゲーミフィケーションを活用した販売手法を取り入れています。高い頻度で最大割引率のクーポンが当たるルーレットなどです。私がどちらも実際に利用したところ、AliExpressの場合は、新商品や珍しいアイテム、著名なブランドの最新商品を見つけ出す楽しさの提供に着目しているように感じました。
AliExpressは、卸の立場でサプライヤーとのBtoB取引サービスも提供しています。そのため、商品の仕入れを目的とした利用も可能です。SHEINやTemuの場合は、プラットフォームがサプライヤーを取りまとめて、「価格が基準を満たさなければ退場」という側面が比較的強いといえます。
なお、越境ECとなると、国内での買い物に比べて安全性に疑問をもつ消費者もいます。そこで、商品が届かない、または説明と異なる商品が届いた場合のリスクを軽減するため、内容に応じて返金する購入者保護制度を導入している越境ECプラットフォームも存在します。AliExpressもその一つです。
また、こうした安全性に加えて、低価格で商品を提供しているからこその品質のばらつきも顧客目線では懸念点でしょう。現時点で課題はまだあるものの、AliExpressは次のような対策を行っています。
- 信頼度の高い売り手を示す「トップブランド」認定制度
- 大量に書き込まれる商品レビューとユーザー評価の仕組み
- 購入者保護制度の導入による安心感の提供