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ECzine Day 2024 Autumn

2024年8月27日(火)10:00~19:15

EC動向定点観測~オムニチャネル編~

顧客起点の体験型リテールメディアストア「Yodobloom」とは?日本の小売がもつべき視点を解説

 EC事業者が押さえておきたい最新動向を、ジャンル別にお届けする「定点観測」。オムニチャネル編では、逸見光次郎氏が解説します。今回は、同氏に「NRF Retail's Big Show APAC 2024」を通して見えた日本の弱点、体験型リテールメディアストア「Yodobloom」での発見を共有してもらいました。

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「NRF Retail's Big Show APAC 2024」で見えた日本の現在地と弱点

 2024年6月11日~13日、「NRF Retail's Big Show APAC 2024」が、シンガポールで初開催された。同イベントは、NRF(全米小売業協会)が毎年米国で開催する流通小売業界のイベント「Retail's Big Show」のアジア太平洋版で、約7,000人が参加したという。同イベントに参加した逸見氏は、「米国のトレンドに注目が集まりがちだが、APACでも様々な発見があった」と話す。

「登壇した企業に共通していたのが、『顧客起点』の考え方です。各社が、顧客満足度を上げるために、データやシステムを活用しています」

 その例として逸見氏が挙げたのが、NTUC(シンガポール全国労働組合会議)が展開するスーパーマーケットチェーン「FairPrice」だ。高級食材も販売する「FairPrice Finest」や電化製品なども幅広く取り扱う「FairPrice Xtra」をはじめ、複数のコンセプトの店舗を展開する同チェーン。FairPrice Finestの一部店舗にバーカウンターを設けるなど店内の作り込みに注力しながら、デジタル化を推進している。

「FairPriceでは、顧客が専用アプリでバーコードをスキャンしながら商品をかごに入れ、そのまま自身のスマートフォンで会計できる『Scan&Go』の仕組みを、一部店舗で採用しています。また、ネットスーパーを通じた購入はもちろん、アプリで商品を事前に注文し、店舗受取することも可能です。

 2023年時点のシンガポールの人口が約590万人なのに対して、FairPriceのアプリの月間利用者数は100万人にものぼると聞いています。アプリは屋台での決済にも利用でき、ポイントも付与される仕組みのようです。シンガポールの国内回線以外ではインストールできないため、次回の訪問時にはアプリを準備して実際に体験しようと思っています」

 APACに目を向けるのは、日本の現状を理解する上でも意味がある。逸見氏は、現地で実感したシンガポールと日本との違いについて、次のように説明する。

「たとえば、日本で総合ディスカウントストアとして親しまれている『ドン・キホーテ(DON DON DONKI)』は、現地で『良質なスーパー』と認識されています。店内で調理された総菜が並び、人気を集めているのです。シンガポールでは自炊しない人も多いため、現地のドン・キホーテも、中食の需要に合った形となっています」

 日本でも、女性の社会進出は進んでいる。2021年時点における女性の労働力率は、20代~50代までで70%超にのぼる。加えて、60代でも平均で50%を超えている状況だ。こうした事情を踏まえると、家事の手間を減らすネットスーパーや中食の需要は高いといえるだろう。ところが、「日本の小売はライフスタイルの変化に十分対応できているとはいいがたい」と逸見氏は続ける。

「日本の小売は、いまだに生鮮三品(青果、鮮魚、精肉)の販売にこだわる傾向がありますが、生鮮三品をネットスーパーで販売するには、厳しい鮮度と温度管理が必要な上に、売れ残ると廃棄するしかありません。店舗受取も海外に比べて導入事例が少なかったり、到着時に電話が必要だったりするなど、便利とはいえない環境です。近年、需要が高まりつつある冷凍食品のSKU数を増やすなど、顧客の生活実態に合った実店舗へと進化する必要があるでしょう」

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この記事の著者

ECzine編集部 藤井有生(フジイユウキ)

1997年、香川県高松市生まれ。上智大学文学部新聞学科を卒業。人材会社でインハウスのPMをしながら映画記事の執筆なども経験し、2022年10月に翔泳社に入社。現在はウェブマガジン「ECzine」で編集を担当している。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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https://eczine.jp/article/detail/15062 2024/08/07 07:00

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