ベイシアのeコマース事業はなぜ好調なのか?
群馬県に本社を構え、カインズ、ワークマンなどを有するベイシアグループの中核企業として、ショッピングセンターを展開するベイシア。店舗数は133、売上高は3,218億円と過去最高を記録している(2024年2月末時点)。
同社が成長を続ける要因の一つに挙げられるのが「OMOの強化」だ。具体的には、2020年12月に自社アプリをローンチし、アプリを起点としたロイヤリティー(ポイント)プログラムを構築。eコマース事業の拡張も進めている。
「多くの小売店では、販促施策として一般的なポイントプログラムですが、ベイシアは自社アプリをローンチするまで実施していませんでした。100円で1ポイント付与するのであれば、最初から1円安くすればいい、というシンプルな発想で、誇りをもってディスカウントに取り組んできたからです。
しかし、オンラインにチャネルを拡張し、リアル店舗とのOMOを推進するにあたり、生活者のデータが必要になりました。お客様一人ひとりに寄り添い、再来店を促す術を考えた結果、アプリ起点のポイントプログラムを立ち上げることにしたのです」
アプリの展開後、ベイシアは2022年に「楽天全国スーパー」の仕組みを活用して「ベイシアネットスーパー」を開始。現在は、大きく「広域EC」「ネットスーパー」「アプリ予約」の3本柱でeコマース事業を展開している。
広域ECは、日本中にベイシアの商品を配送する取り組みだ。楽天市場、Yahoo!ショッピング、Amazon(フローズンのみ)に展開し、専任のマーチャンダイザーが商品の選定や価格設定を行っている。取扱商品の7割は、ベイシアのリアル店舗に置いていないものである点も特徴だ。
ネットスーパー、アプリ予約はOMOを実現するもので、ネットスーパーは現在44店舗(2024年6月時点)で展開している。バックヤードも含めた整備により、店舗型の出荷を実現。アプリ予約は、前出のポイントプログラムと同一のアプリで土用の丑(うし)の日のうなぎや恵方巻、クリスマスケーキなど、シーズン商品の予約を受け付けている。
「ネットスーパーとアプリ予約は、同一IDで管理しています。広域ECも含むeコマース3事業は、毎月の売上額が最低でも前年比約200%、多いときは400%もの数値を記録しており、急成長の真っただ中です」