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ECzine Day 2024 Autumn

2024年8月27日(火)10:00~19:15

ECzine Day 2024 June レポート(AD)

OMO推進には接点増加がポイント ユーザ体験向上のための分析と実行方法をビービットが解説

 小売業界のDXが進み、自社ECやアプリを展開する企業も着々と増えている。しかし、単に売り場や顧客接点を設けるだけでは、売上増は難しい。そこで必須となる考えが、オンラインとオフラインを融合してユーザの利便性を高める「OMO(Online Merges with Offline)」だ。2024年6月6日開催の「ECzine Day 2024 June」にて、株式会社ビービット ソフトウェア事業本部 マーケティングソリューション セールス&マーケティングマネジャーの生田啓氏が登壇。これまで800社以上のUX向上を支援してきた実績を踏まえつつ、OMOの本質や売上を伸ばすポイント、データ活用を含む具体的な手法について紹介した。

マクドナルドレベルまでいかずとも、OMO推進の術はある

 2000年に創業し、企業のDX実現に向けた課題解決をコンサルティングとテクノロジー双方の視点から手掛けるビービット。同社は、UXデザインコンサルティング、UXグロース支援に加え、小売・EC業界の最適なUX実現を支援するMAツール「OmniSegment」を提供。これまでに大手企業・デジタル先進企業を中心に、800社以上の支援を行ってきたという。

 今回のセッションで主題とするOMOは、今や日本でもあらゆる企業が課題として向き合い、実践を重ねる取り組みだ。特に、実店舗を有する小売業界ではスタンダードになりつつある。日本国内にOMOが浸透した経緯について、生田氏は次のように言及した。

「OMOという言葉を日本で耳にするようになったのは、2019年からです。当社 執行役員CCOの藤井(保文氏)らが、2019年に出版した『アフターデジタル - オフラインのない時代に生き残る』(日経BP、2019年)で紹介したのを契機に広まったと自負しています」

株式会社ビービット ソフトウェア事業本部 マーケティングソリューション セールス&マーケティングマネジャー 生田啓氏
株式会社ビービット ソフトウェア事業本部 マーケティングソリューション セールス&マーケティングマネジャー 生田啓氏

 同書籍では、完全なるオフラインの世界が今後なくなり、オンラインであることが当たり前な世界を「アフターデジタル」と定義し、広範なサービス提供を可能にするためのデータ収集や活用の重要性を問いている。こうした世界を実現する上で必要となるのが、OMOの考え方だ。

「OMOを実現するには、企業がオンラインとオフラインを区別せずに一体として捉える必要があります。顧客がその時々で最も便利な方法を自由に選べる状態にしなければならないからです。オンオフ問わず、体験が一つとなってつながっている状態を作り上げる。これが、『OMOが実現した世界』だといえます」

OMOとは何か
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 生田氏は、日本におけるOMOの成功事例として、日本マクドナルドが公式アプリで提供する「モバイルオーダー」を挙げた。

 事前に注文と支払いを済ませることで、レジに並ばずに商品を受け取れる同サービスは、2020年にリリース。これにより、同社はこれまで店内の行列に並ぶのが面倒で購入を諦めていた見込み客の取り込みに成功し、2023年度には過去最高業績を記録している。現在は注文の23%がモバイルオーダー経由で、アプリのアクティブユーザは2,600万人以上だという。

「こうした好例はあるものの、オンライン・オフラインの体験を統合するのは難しく、大きなコスト負担が生じる上に、失敗のリスクも存在します。そのため、当社は現実的に取り組みやすい施策として『ユーザとの接点を増やすことから始めましょう』と勧めています」

ユーザ接点増を目指す企業が陥りがちなOMOの誤解とは

 ユーザとの接点を増やす上で、OMOの取り組みは非常に効果的だが、生田氏は「OMOという単語が誤った使われ方をしているケースも多く見られる」と警鐘を鳴らす。

「OMOを、『実店舗とECサイトの相互送客』の意味合いで使っている企業をかなりの割合でお見かけしますが、これは間違いです。また、『ECサイト強化』と捉え、実店舗の旗艦店と並列関係に扱うのも、OMOの本来の意味とずれています。

 大事なのは、それぞれのチャネルの特長をうまく生かしながらユーザの体験全体を設計し、実店舗とECサイト双方の売上が上がる仕組みや仕掛けを作ることです」

あるべきOMO推進の方法
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課題を「どうするか」で変わる定量・定性分析の使い分け方

 そうはいっても、いきなり実店舗とECサイト双方の利用促進を実現する完璧な環境構築は困難だ。そこで生田氏は、まず「接点を増やす」取り組みを進めるようアドバイスする。大切なのは「無理やり送客する仕掛けにするのではなく、ユーザが自由にチャネルを使える状態にすること」で、具体的なポイントを三つ挙げた。

接点増加のための三つのポイント
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「一つ目のポイントは、ユーザが各チャネルを『使う理由』を見出すことです。そのためには、全体像や課題を把握するための『定量分析』に加え、実際にどう使っているのかといったプロセスを確認する『定性分析』が必要になります」

 定量分析とは、行動ファネルや購買チャネル分析などの手法を用いて課題箇所の発見や、影響度、重要度を確認するために実施するものだ。対する定性分析は、行動の順序や間隔、前後の行動などからプロセス・文脈を確認し、課題要因を把握するために用いられる。

 ここで生田氏は、過去にビービットが支援したある企業の事例を紹介。同事例では、次のようなステップでサポートが実施されたという。

  1. 全体像把握(定量分析)
  2. 要因・インパクト検証(定量分析・定性分析)
  3. 課題指摘・改善示唆
  4. 改善施策の実行

「まず『全体像把握』として購買データのRFM分析を実施したところ、実店舗とECサイトの両チャネルを利用するユーザのLTVが、片方のみを使うユーザの1.5倍であることが見えました。そこで、F2転換促進に向けた相互送客強化を実施したのですが成果につながらず、さらに実店舗購入からEC購入のファネル分析をしたところ、メールもしくは商品詳細ページに課題があると見えてきたのです」

 その上で実施したのが、「要因・インパクト検証」だ。実店舗購入後に、ECサイトで購入したユーザと離脱したユーザそれぞれの行動を分析したところ、実店舗購入当日に購入商品の詳細やお手入れ方法を見に来て、別商品の存在を認知したユーザは、後日配信したメールへの反応も良いことが明らかになった。

 また、同一行動を取った上でメールに反応し、最終的にEC購入につながったユーザは両チャネルを利用するユーザの7%を占めており、ここから得た発見が次のステップ「課題指摘・改善示唆」「改善施策の実行」につながる。

「実店舗購入直後に商品の詳細情報を収集するユーザは、商品やブランドへの関心が高く、この勢いが弱まる前に他商品の認知を取るのが有効だと、仮説を立てました。そして、実店舗購入当日に、該当商品のEC商品詳細ページへ誘導するメールを送る施策を行ったところ、F2転換率が1.38倍増加したのです。

 『なぜ使ってくれるのか』といった理由を見つけるには、定性分析が非常に有効です。GA4の『探索』からもユーザ行動の定性分析は可能なので、ぜひ実店舗しか使わないユーザ、EC購入しかしないユーザの理由を定期的に見てはいかがでしょうか。また、既存ユーザにアンケートやインタビューを行うのも良い手です」

EC担当者だけでは成立しない OMO推進に重要な仲間作りのポイント

 二つ目のポイント「活動推進のために社内コンセンサスを取る」について、生田氏は次のように言及する。

「OMO推進には、経営層、全体マーケ統括、EC、実店舗の最低4セクションにOMOを理解するメンバーの配置が必要です」

POINT2:社内コンセンサスを取る
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 中でも重要なのが、「決定権を有する経営層」の理解度だと生田氏は強調。OMOは本格的な推進を目指すと、実店舗、ECサイト、物流、企画などあらゆるセクションの業務改革が必要となる。意思決定者がGOを出さなければ、年間MDや販促スケジュールにも反映できず、当然ながら各部署も動けない。

実務の主導権を握るのは、4セクションの中で一番デジタルに対する知見が高いEC担当者です。ただし、接点を増やすアプローチをする上で実店舗が置き去りにならないよう、現場のスタッフや館と話し合いができる立場の人を『店舗側OMO担当』として任命しましょう。こうした仲間作りが大変重要になります」

「選ぶ」を促すオファーはパーソナライズがマストの時代に

 接点増加に欠かせない三つ目のポイントは、「ユーザごとにカスタマイズされたオファーを出す」ことだ。これを実現するには、実店舗・ECサイトの各種データの統合が必要となる。

「実店舗とECサイトそれぞれの体験を充実させ、ユーザが選べる状態を作った後は、そういった行動を促せる仕組みを作らなければなりません。たとえば、MAツールを使って実店舗での購入後に商品の使い方を案内するメールが届くようにする、ECサイトのお気に入り登録とスタッフのコーディネート投稿の情報を掛け合わせて、相性の良いスタッフがいる近隣店舗への来店予約促進メールを送るなど、オファーの方法は様々です。これらは、データを使ってしっかりとパーソナライズしながら取り組んでいきましょう」

 生田氏は、特に三つ目のポイントを実現する上で役立つツールとして、ビービットが提供する「OmniSegment」を紹介した。同ツールは単なるMAツールではなく、質の高いセグメンテーションとコミュニケーションを実現するため、「データ収集・統合(CDP)」「セグメンテーション/分析(BI)」「施策設計・実行(MA・AI)」といった機能をまとめて提供している点と、それらが小売・EC向けに最適化されている点が特徴だという。

「使いやすいUIと並走型のサポート、そして比較的スタートしやすい金額からご相談可能な点が『OmniSegment』の強みです。もし興味のある方は、ぜひお問い合わせください」

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【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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