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リテールメディアは商品・サービス開発の手がかりにもなる
前回の記事では、業務効率化や体験向上のためのアプリ活用について語った金子氏。今回は、ヤプリでも「Yappli Premium Ads」の提供を通してチャレンジしている、リテールメディアの動きについて紹介した。
「事業者が顧客によるアプリの利用や購買から取得しているファーストパーティデータは、財産です。特にアプリは、ダウンロードのハードルを乗り越えた顧客が利用しているため、ロイヤルカスタマーが多く集まります。
リテールメディアは、メディアなどで取り上げられる大手小売の事例から『膨大なトラフィックがなければ参入余地はない』と思われるかもしれませんが、顧客像をきちんととらえられているアプリであれば、その場が立派なリテールメディアとして機能するはずです。その可能性を感じ、既に多くの事業者が取り組み始めています」
自社アプリがリテールメディアとして機能すれば、単なる顧客接点だけでなく、付帯収入を得る場としても機能する。これまでは「更新リソースを割けない」「運用コストがかかるチャネル」と認識していた事業者やブランドにとっても、役割や位置づけが大きく変わるきっかけになるだろう。
「中には、『自社アプリに他社の広告が出たらトラフィックを奪われるのではないか』といった懸念を抱く方もいるでしょう。しかし、自社商品の宣伝だけが流れてくるよりも、自分にフィットしたあらゆる情報が集まるアプリのほうが、頻繁に立ち上げ、閲覧したくなるはずです。
また、バナー掲載枠を設け、広告を出す・出される関係としての付き合いをするだけでなく、コンテンツや商品などのコラボレーション相手を探す動きも兼ねて取り組めば、事業者やブランドにとって新たな展開にもつながります。アプリのあり方やコミュニケーションが次なるステップに進む可能性のある、おもしろい時代が始まりつつあると思います」